不意に蜘蛛の巣や糸が絡まったような感覚に襲われた経験はありませんか?
夜道を歩いているときや、車から降りたとき、はたまた街の中を歩いているときなど──。
「なんで?」と思ってしまうような場所でも関係なく起きてしまう、なんとも不思議な現象ですよね。
手でつまんで取っても不快感が消えなかったり、いつまでもくっ付いているような感覚が残っていたり。
この現象はいったい何が原因なのでしょうか?
今回はそんな蜘蛛の糸現象について、幽霊説・病気説・蜘蛛説の3つに分けて考えてみたいと思います。
幽霊説
「蜘蛛の糸が張り付く感触は、幽霊の髪の毛である」
夜道を歩いていると、高確率で蜘蛛の糸現象に見舞われますよね。
そこでよくいわれているのが、この「幽霊説」です。
顔にかかる、耳にかかる、さらには首、腕、足まで。あらゆるところに蜘蛛の巣が引っかかっているような感触がする。
これ、実は蜘蛛の糸ではなく、幽霊の髪の毛だそうですよ。
糸のようなものが取れた感覚がして手のひらを見ても、どこにも「取ったはずの糸」が見えなかった──なんて経験はありませんか?
(僕の場合、蜘蛛の糸かと思って取ってみたら本当に長い髪の毛だったという怖い経験もあります)
──しかし。
幽霊説であってほしくない理由
蜘蛛の糸幽霊説はおそらく間違いでしょう。
そもそも心霊現象否定派の僕としては、こんなことがあっては困ります。もし仮にですよ? もし仮に、世界中にうようよと幽霊の髪の毛が漂っているものだとしましょう。
いやいや、どう考えても気づくよね?
第一、これだけ大勢の人がこの現象を体験しているのならば、とても"心霊現象"といえたものではありません。単に"そういうものだった"で片付けられてしまいます。
心霊現象は現象である前に、説明のつかないものでなければならないのです。
本当に蜘蛛の糸現象が幽霊の髪の毛だったとして、頻繁にこの現象に遭遇しているのであれば、一気に心霊現象の珍しさがなくなります。
そこらじゅうに幽霊の髪の毛が漂っており、その気になればいくらでも集められる──。そんなことになったら大変です。
「幽霊の髪の毛を食べてみた」とか「幽霊の髪の毛でぬいぐるみを作ってみた」とか、そんなどうでもいいネタが世の中に溢れかえってしまいます。
こうなるとオカルトの立場がありません。人から忌み嫌われる存在である幽霊が、近所をうろつく猫や犬と同じぐらい身近な存在になってしまったらどうでしょうか。
夏はどうやって過ごしますか。「怖い話」がまったく怖くなくなってしまったらどうでしょうか。
どう考えてもつまらないでしょう。
オカルトは、理屈がわからないからいいのです。わからないから、怖いのです。知らないから、恐れるのです。
蜘蛛の糸よ、頼むから幽霊の髪の毛じゃないといってくれ。
蜘蛛の糸と髪の毛の太さがまったく違う件について
蜘蛛の糸は、人の髪の毛とは比べ物にならないぐらいの細さです。
人の髪の毛の太さは太い毛で0.1mm、細い毛で0.06mmだそうです。
年齢や性別、また生まれた国などによって個人差があるものの、平均的な太さは約0.08mm前後といわれています。
一方、蜘蛛の糸の太さは約5ミクロン。
細い髪の毛でも約60ミクロン(0.06mm)ということですから、約10分の1くらいの太さですね。
それに加え、蜘蛛の糸は非常に丈夫です。
通常のナイロン糸よりも約2~3倍強いため、もし仮に蜘蛛の巣で0.5mmほどの太さにすれば体重50~60kgの大人ぐらいはぶら下げられる強度になります。あくまで理論的にですが。
髪の毛と蜘蛛の糸はまるで別物です。
「幽霊の髪の毛だから細いんだ」という意見もあるとは思いますが、まず考えにくいでしょう。
幽霊だとしても、そんな細い髪の毛が生えていたら可哀想です。ちょっとした風でフワフワと宙をさまよいます。
さまよう側である幽霊を差し置いて、髪の毛のほうが先にさまよってしまいます。
仮に幽霊から抜け落ちた髪の毛であったとしても、それはそれで可哀想ですね。
そんなことを考えるぐらいなら、もう謎の蜘蛛の糸現象の正体は蜘蛛の糸でいいです。
病気説
次に「病気説」です。
糸が絡まっているような感覚は、神経の働きが部分的に低下したときに起きるようです。
手足がしびれる、力が入りにくいなど、運動機能に特に症状がなければ心配はいらないとのこと。
神経機能低下は、主に神経が障害を受けた、または血行不良が原因だといわれています。
ほとんどの場合は血行不良ですが、ときどき神経が障害を受けてしまった場合があり、そのときに障害が現れる部位は手や肘、肩、首など、さまざまな場所に現れるようです。
また、精神的に不安定なときにもこの症状が現れることがあるようです。
僕も「難聴+うつ」で悩んでいた時期、風呂場で蜘蛛の糸現象を何度も体験しました。
ほとんどの場合は心身の疲労などによって神経に障害が起きているだけでしょう。
ただ、力が入らなかったり、あまりに長く妙な感覚が続くようであれば、すぐに医療機関を受診されることをおすすめします。
蜘蛛説
やっぱり、蜘蛛の糸は蜘蛛のせい。
道幅が広く、どう考えても蜘蛛が巣を作らなそうな場所でも、蜘蛛の糸現象に遭遇することがあるかと思います。
しかし、そういった場所は「蜘蛛の巣が作れない場所」であって、「蜘蛛の糸」ができない場所ではないんですよね。
つまり、「蜘蛛の"巣"である可能性は低いものの、蜘蛛の"糸"である可能性は十分に考えられる」ということです。
蜘蛛は世界中に約4万種類、日本には約1200種ほどいます。約半数は"蜘蛛の巣"を張り、残りの半数は巣を作りません。
しかし、「糸を出す」という点においては、すべての種類の蜘蛛に共通しています。
そして、一口に「蜘蛛の糸」といっても、その糸は7種類にも及びます。
用途によって太さなどを使い分け、蜘蛛の巣を作る1本1本も、実際には複数の糸が複雑に束なっているそうです。
蜘蛛、すごいね。
一番身近な蜘蛛といえば「ハエトリグモ」が挙げられるでしょう。家の中でよく見かける小さな蜘蛛です。
この蜘蛛も移動中には常に糸を出しているため、室内で蜘蛛の糸に引っかかったとしてもなんら不思議ではありません。
さらに、「ハエトリグモ」の子供は約1mm程度です。自分の近くにいたとしても気づかない場合が多いでしょう。ましてや、すでに自分の体に張り付いている場合も考えられます。
風に乗ってきたのではなく、もう最初から体にいたというパターンもあるというわけですね。
自分の肩から蜘蛛がダイブしたら、当然、その蜘蛛が出した糸は顔にかかるでしょう。
蜘蛛が飛ぶ?バルーニング現象とは
子蜘蛛や小型の蜘蛛の一部は「バルーニング(風に乗って飛行、または浮遊すること)」を行います。
バルーニングとは、クモ類の幼体が糸を使って空を飛ぶことである。
どこにでもいそうな蜘蛛が、長距離を移動するためにわざと風に乗るような糸を出すこともある、ということです。
移動用の糸を常に出しながら移動しているわけですから、どんな場所で引っかかったとしても不思議ではありません。
幅が広い道のど真ん中を歩いているときでも、繁華街を歩いているときでも、部屋で座っているときでも──。
どのような場所であっても、蜘蛛の糸に引っかかる可能性はゼロではないです。
いつから蜘蛛の糸だと錯覚していた?
必ずしも、すべての蜘蛛の糸現象や違和感が蜘蛛のせいであるとはいい切れません。
しかし、8割──いや、9割が蜘蛛のせいだといってもいいでしょう。
蜘蛛の糸のような感覚がするというぐらいなので「蜘蛛の糸」である可能性は非常に高いです。
それに、蜘蛛は"飛ぶ"のです。
しっかり休もう!
もしかすると、精神的・肉体的疲労が原因かもしれません。まずはしっかりと休息を取ることが大切です。
睡眠の質を上げるためには、耳栓やアイマスクなどの快眠グッズがおすすめです。
寝ている間も人の感覚は常に働いているので、目や耳から入ってくる情報をできるだけ少なくしてあげることが重要です。
思い込みで幽霊が見える?
気にしすぎもよくありません。精神的な疲労が溜まってくると、脳が錯覚を起こし、幻聴や幻覚、または既視感などを引き起こします。
蜘蛛の糸現象も、もしかするとトランス状態に陥っているだけなのかもしれません。
トランス状態(変性意識状態)とは、なんらかの原因によって、普段の意識とは異なる意識に変化している状態のことです。
僕自身、夢日記を書いたり、「ひとりかくれんぼ」という降霊術をやったりした結果、心身の状態がおかしくなった経験があります。これらの現象も「トランス状態の一種」だと考えるのが妥当でしょう。
トランス状態については、知識として持っておいて損はありません。いつ、どこで、どんなことがきっかけでトランス状態に陥ってしまうかは分かりませんので。
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