僕はこれまで、「スマホのカメラで十分だ」という意見に一切として共感することができず、「写真を撮るなら、やはり"撮影に特化したカメラ"に限るな」と考えていました。
少なくとも、僕の中には「スマホはスマホ、カメラはカメラ」という境界線があったのです。
しかし、最近、iPhone XSを手にしてみて思ったことがあります。
「あ、スマホのカメラで十分かもしれないぞ」
これまで僕は、一眼レフやコンパクトデジタルカメラ、アクションカム、ゴープロなど、さまざまなカメラを使ってきました。
元写真部ということもあり、写真にかける情熱は人一倍強いです。では、なぜ「旅行での撮影はスマホで十分だ」と思うようになったのか? 今回はその理由をまとめていきます。
旅において「軽量化」は最優先事項
僕にとって、旅においての最優先事項は「いかに荷物を軽量化するか?」という点にあります。これは、これまでの経験則から導き出した自分なりの真理です。
シャッターを切ってこそのカメラである
荷物が軽いということは、その分、体力も温存できるし、行動の制限がそれだけ広がるということです。
「荷物が軽い=体力温存=行動の幅が広がる」
確かに、せっかくの旅行、少しでもきれいな写真を撮影したいという気持ちはとてもよく分かります。しかし、いくら性能のいいカメラを持っていたところで、写真を撮らなければ意味はありません。写真は撮ってなんぼ、なのです。
「きれいな写真を撮るには、とにかく数を打って、打って、打ちまくる」
これは僕の撮影ポリシーでもありますが、カメラは、とにかくシャッターを切ってこそのカメラなのです。
一眼レフはとにかく重い
一眼レフはとにかく重く、おまけに超精密な機械なので、取り扱いにもかなり注意する必要があります。
旅行では、限られている時間の中で、できるだけ多くのポイントを回らなければならないこともあるでしょう。
実際、一眼レフを手にして熱海旅行へ行ったとき、
- カメラを持ち運ぶので精一杯
- いざ撮影するとなっても、なんとなく気が乗らない
- 電源を入れるまでのタイミングがワンテンポ遅れる
といった、「長年、実は思っていたけれど、気づかないフリをしていた事実」を否応なしに突きつけられてしまったのです。
そして僕は、ついに「すべて一眼レフが重いせい」という結論にたどり着いてしまいました。シャッターを切らずして何がカメラだ、とね。
荷物の重さが命の危険に直結する?
特に、自転車日本一周旅行の際には、身をもって「荷物の重さが命の危険に直結することもある」ということを学びました。
荷物の重さが体力を奪い、体力が奪われることで判断力や注意力が散漫になる──。ほんの少しの油断が、旅行先では命取りになるわけです。
ましてや、日本に比べて治安のよくない国を歩いているときや、慣れない外国の車道で運転している際など、旅先では何かと注意散漫になりやすいです。
なるべく軽い機材で撮影し体力を温存することは、旅を安全に、かつ思い出も大切にするということとイコールなのです。
軽くて撮れるカメラとは?
結論から言うと、旅行での撮影はスマホで十分です。
海外旅行でも「スマホ」が正解だった
以下は、僕が実際に「スマホのみの撮影」で突撃した旅先の一覧です。
- セブ島留学
- フィリピン移住
- マレーシア
- オープンカーでハワイ一周
- キャンピングカーでアメリカ大陸横断
- タイ
- 富士山登山
フィリピンに住んでいたときは、ドローンカメラやコンデジ、ゴープロなども使用していましたが、最終的には「スマホのみの撮影」に落ち着きました(ただし、ドローンカメラは他のカメラにはない魅力がある)。
「スマホで十分」という結論にたどり着くまで
高級コンデジ時代
「重いのは嫌だけど、きれいな写真は撮りたい」という気持ちで、一眼レフから乗り換えたのがコンパクトデジタルカメラでした。いわゆる、高級コンデジと呼ばれている部類ですね。
ミラーレス一眼も捨てがたい選択だったのですが、旅中はレンズを変えるという作業も負担になります。
僕は基本的に「なんでも撮りたい民」なので、気になったものはすぐにその場でパッと撮影したいんですよね。
その点、コンデジは取り回しがよかった。軽い、起動までのアクセスも速い、写真もきれいに撮れる──。
旅先の中には、「治安が悪いからカメラは持って行かないほうがいい」という場所もありましたが、コンデジはコンパクトで軽く、バッグに出し入れしながらでも手早く撮影できました。
高級コンデジ+ウェアラブルカメラ時代
高級コンデジの次に一軍入りしたのは、ウェアラブルカメラ──アクションカムやゴープロ──でした。
普段の撮影はコンデジで、動画撮影や超広角が欲しいときはアクションカム、もしくはゴープロで撮影という使い分けをしていました。
正直、一眼レフのようにレンズを変えたい場面もあったものの、手間と、軽量さとを天秤にかけた結果、最終的に「高級コンデジ+ウェアラブルカメラ」という形に落ち着きました。
手持ちのカメラをすべて失った
当時、フィリピンに住んでいた僕は、不幸にも半年間で手持ちのカメラをすべて失うという悲劇を体験しました。
アクションカムの破損、iPhoneの盗難、高級コンデジの度重なる故障、iPhone(2台目)とゴープロの浸水──と、連続殺カメラ事件が発生してしまったのです。
iPhone XSを手にして思ったこと
手持ちのカメラをすべて失った絶望モードのタイミングで、僕は、前世代からカメラ性能が大幅にグレードアップしたiPhone XSを手に入れました。
──そして、思ったのです。
「あ、これ、もはや"スマホつきカメラ"じゃん」
iPhoneならば、自動でiCloudに共有して他のデバイスからも写真を確認できますし、SNSへのアップロード、写真の加工も簡単です。
確かに、純粋なカメラ機能や性能で見れば、高級コンデジや一眼レフに軍配があがるでしょう。しかし、なんというか、「許容範囲」というのでしょうか?
「これだけ撮れるなら、iPhoneのカメラで十分だなあ」と思えたんですよね。あれだけ「スマホのカメラで十分だ」という意見に共感できなかったのに。
まとめ
正直、できることならフルスペックの一眼レフと複数のレンズを抱えて万全の体制で旅に臨みたい、という気持ちはあります。
それでも、やはり手軽さとコンパクト性を重視すると、結局はスマホという選択肢に行き着いてしまうんですよね。
もちろん、写真がメインの旅であれば高性能なカメラを持っていくべきです。しかし、あくまでも「旅そのものを楽しみつつ、きれいな写真を撮りたい」という場合は、機材は軽いことに越したことはないのです。
旅にしろ、写真にしろ、大切なのは「自分がどこまで追求したいのか?」ということなのでしょう。