深夜の時間帯になると、理性がブッ飛んだり、突然、何かを悟ったかのように思える瞬間が訪れることがありますよね?
普段は行動に移せないようなことを躊躇なく行ってしまったり、衝動や勢いだけで奇行に走ってしまったり、いつもはピクリとも反応しないネタが面白く感じてしまったり──。
そういった深夜の時間帯のみ現れる一過性の躁状態、それが「深夜のテンション」だ!
今回は、
「深夜テンションの原因」
「深夜テンションの具体例」
「深夜テンションの防止方法」
についてまとめていきます。
深夜のテンションの原因は「脳」にあった
人間という生き物は「夜は休む」ようにできています。本能によって、そう決められています。
本来は休むべき時間帯に無理やり脳や身体を動かそうとすると、「自律神経」のバランスが乱れてしまい、昼の時間帯に活発になるはずの「交感神経」が優位になり、興奮状態に陥ってしまうのです。
さらに、
- 疲労や眠気による判断力の低下
- 夜の開放感という心理的要因
が重なり、「異常行動」につながってしまうということも考えられるでしょう。
深夜になると「脳機能」が低下する
人間の脳の奥底にある「大脳辺縁系」と呼ばれる部位が、原始的・本能的な感情を生み出しています。
その本能的な感情を制御しているのが、おでこ辺りに位置する「前頭前皮質」です。
「大脳辺緑系」と「前頭前皮質」のバランスによって、人間の行動・思考は決まっているんですね。
いわば、大脳辺縁系がエンジン、前頭前皮質がハンドルといったところでしょうか?
- 感情や本能を司る大脳辺縁系:エンジン
- 理性を司る前頭前皮質:ハンドル
人間と動物とで違う点は「理性」があるか、ないか、です。
人を人たらしめている理性の中枢、「前頭前皮質」が活動のピークを迎えるのは午前10時頃だと言われています。
夜10時以降は「前頭前皮質」の機能が急激に低下していき、「深夜のテンション」が現れる深夜帯には、脳のパフォーマンスがかなり落ちている状態になります。
さて、コントロールが効かなくなった「車」は一体どうなってしまうでしょうか?
答えは明白ですね。ズバリ、暴走します。
「理性」という名のハンドルがブッ飛び、「本能」というエンジンだけでブンブン暴走してしまう──。
このように「前頭前皮質」の機能が低下していくと、本能的な思考を司る「大脳辺縁系」の機能がより活発になるので、感情の赴くまま行動しがちになってしまうのです。
脳の機能が低下する「順番」は決まっている
「ここを損傷すると性格がガラリと変わってしまう」なんてことも言われる、前頭前皮質。
実は、夜になると「前頭前皮質」の機能が真っ先にダウンします(「老化」に伴う脳の機能低下も、前頭前皮質がもっとも早く衰えていく)。
例えるならば、「酒を飲んで酔っ払った状態」ですね。アルコールは前頭葉の働きを麻痺させます。まあ、泥酔状態とまではいかないにしろ、深夜になるほど前頭葉の機能は低下するのは事実です。
深夜帯にネガティブ思考になってしまうのも、ただ単に脳の機能が低下して冷静な判断ができなくなっているだけ。あなたは、何も悪くない。
そう考えると、判断力が落ちている深夜帯を狙ってテレビショッピングのCMをバンバン打つ、というのも理にかなっている気がします。
脳は「勝手極まりない司令塔」である
脳は、拳をふたつ合わせたほどの大きさ、成人男性で1300~1400g、成人女性で1200~1300グラムほどの重さです。
人間の脳にはまだまだ未知の部分があるものの、僕らのすべては「脳という得体の知れない物体」に完全に支配されています。
しかし、「勝手極まりない司令塔」である脳も、意味のないことは一切しません。
「放っておいても勝手に思考し、勝手に記憶を整理し、勝手に忘れる」
これらは、すべて「生きる」ために必要不可欠なことなのです。
深夜のテンションは「起きながら夢を見ている状態」である
深夜のテンションは、脳が「疲れたからすぐに休みたいけど、体の持ち主がまだやることがあるらしい」と気遣ってくれている証なのでしょう。
しかし、脳の体力の限界が近いために「起きながら寝ているような状況」となり、半ば"夢を見ているような状態"に陥ってしまっている──。
本来は優秀な脳も、疲労と眠気には勝てません。深夜のテンションは、脳からの数少ない「ヘルプ信号」なのかもしれませんね。
深夜帯はクリエイティブな創作活動にうってつけ? 勉強は?
よく「『芸術家』は夜に創作活動をすることが多い」なんて言いますが、実はそれも理にかなっていることなんですよね。
「前頭前皮質」の機能が低下している状態では、理性や理屈に縛られず、より原始的・本能的に作品作りをできるのです。
「神」を見せる脳
「深夜のテンション」の発動中は、"神が舞い降りてくる"可能性が高くなります。
普段は思いつかないアイディアや、「一世紀に一度の大発見なのではないか?」と思うような考えを閃くこともあるでしょう。
しかし、それらは「深夜テンション補正」がかかっていることもまた事実です。
そのため、「昨晩書いた"自信満々の謎の創作物"を翌朝赤面しながら破り捨てる」という痛々しい現象が頻繁に起きてしまうのです。
勉強は「午前中」にやろう
逆に、受験や資格の勉強を深夜帯に行うのは効率的ではありません。勉強とはつまり、「前頭前皮質をいかに鍛えるか?」ということです。
「面倒だから勉強しない」
「分からないから勉強をやめる」
「別に資格が取れなくてもいいや」
本能の赴くまま行動していては、勉強なぞ永遠にできません。集中して思考することができるのも、前頭前皮質のおかげなのです。
勉強は、「前頭前皮質」が活動のピークを迎える午前中を中心に行ったほうがいいのは明白ですよね。
深夜のテンションは「2種類」存在している
深夜のテンションは、以下の「2種類」のタイプに分類できるでしょう。
- まるで船の上に釣り上げられたカジキマグロのごとく、びったんびったんと踊り狂う「カジキマグロタイプ」
- 黙々と頭の中であることないことをひたすら考え、やがては宇宙の謎に辿り着く「スペースマウンテンタイプ」
要するに、「奇行に走ってしまう暴れ牛タイプ」と「無心で宇宙の謎に迫る哲学者タイプ」ですね。
どちらにせよ、深夜のテンションでその場を乗り切ろうとすると、あとになって後悔することが多いはずです。
【具体例】深夜のテンションで行動すると後悔する?
衝動だけで奇行に走ってしまったり、くだらないことが面白く感じてしまったりする「深夜のテンション」。
朝起きてから「深夜テンション状態だった自分」の行動や思考を冷静に振り返ってみると、たいていの場合は「虚しい悟り」を開くことになります。
「やっちまった」
「よく考えたら、大して面白くなかったな」
「なんであんなにテンションが上がってたんだろう?」
以下、「深夜のテンション」の具体例です。
事例その1:鈍臭い男子生徒がスパイ並みの動きをする「修学旅行の夜」
消灯の時間を過ぎ、ついに"修学旅行の夜の最大の難所"である「先生たちの部屋の見回り」が始まった——。
いつもはトロ臭い男子生徒でも、このときばかりは「メタルギア」さながらの動きで廊下を縦横無尽に駆け巡り、本業スパイも真っ青の身のこなし方をするのだ。
目標は当然、「俺たちのオアシス〜女子の部屋〜in my heart」だ。
これまでの学園生活で培った阿吽の呼吸、そして「深夜のテンション」という"魔法のエッセンス"をプラスしたおかげで、最高のチームプレイを発揮する男子生徒たち。
「最強の結束力」を手に入れた"彼ら"に、もはや死角はないのだった——。
これも深夜のテンション。
事例その2:突如現れる謎の現象「バタフライエフェクト」
複数人でひとつの部屋に川の字で寝転び、部屋全体が「そろそろ寝るか」という雰囲気に包まれる頃──。
誰かが何の気なしに「クスクス」と笑い始める。その笑い声は瞬く間に部屋中に感染し、やがては部屋にいる全員が「大爆笑の渦」に巻き込まれてしまう。
私は、この現象のことを「バラフライエフェクト」と呼ぶことにしよう。
これも深夜のテンション。
事例その3:朝に見直して思わず赤面「厨二病ポエマー」
深夜にひとりで勝手に盛り上がって送ってしまった「メール」や「LINE」の数々。朝起きて冷静に考えてみたら、かなり恥ずかしい発言をしてしまっていた——。
他にも、
- スマホの検索履歴が地獄
- Twitterに厨二病全開のツイートを投稿してしまう
- 普段は描かないような過激なイラストをSNSにアップしてしまう
など、思わず赤面してしまうような事象が被害として報告されている。
これも深夜のテンション。
深夜のテンションを防ぐ方法と対策
深夜帯は、日中に比べテンションが上がっているため「理性を抑止する能力」が著しく下がっています。
自分を律しようとしても実際にはなかなか難しいので、深夜のテンションを防ぐ方法と対策を知っておきましょう。
大人しく寝る
深夜のテンションを防止する方法は、なんと言っても「大人しく寝ること」です。
人間の体は「夜に寝て、疲れを取る」という仕組みになってるので、無理に夜型の生活に変えると、反動で体調不良や精神汚染を起こす危険性があります。
自律神経のバランスが悪くなることで、
- 便秘
- 疲れが取れない
- 精神の落ち込み
- ネガティブ思考
などの弊害も出てきます。超、不健康。
夜更かしをしたい気持ちは分かりますが、夜遅くまで起きていることはなるべく避け、深夜のテンションで奇行に走ってしまう前にしっかりと睡眠を摂りましょう。
寝てさえいれば、「黒歴史」を作ってしまう危険性は完全に防止できます。「大人しく寝る」は、最強かつシンプルな深夜テンション防止法と言えるでしょう。
SNSの投稿は避ける
深夜帯に避けておきたい行動として、SNSへの投稿があります。
おそらく、誰にでも経験はあると思うのですが、翌朝、自分の投稿を見て「やっちまった!」と後悔してしまったことはありませんか?
「赤面ポエマー現象」を避けるためにも、深夜のSNSへの投稿は控えましょう。できれば、SNSも見ないほうがいいです。深夜テンションのせいで、気が滅入るだけです。
「頻繁にLINEやSNSに投稿している方」は特に注意が必要です。FacebookやTwitterはもちろん、LINE、Instagramの投稿にも気を付けましょう。
食べ過ぎない・飲み過ぎない
深夜帯になると無性にお腹が空きませんか? ふと、こってりとしたラーメンを食べたくなりませんか?
とはいえ、自分の意思だけで食欲を抑えつけることは難しいです。欲求を無理に封じてもストレスが溜まるだけなので、多少のことは許容してもいいでしょう。
しかし、できれば寝る3時間前からは物を一切食べないようにしたいところです。
食欲が満たされている状態だと、他の欲求に対しても歯止めが効きづらくなり、誘惑に負けてしまう可能性がぐんとアップしてしまいます。
ネット・テレビショッピングに注意
「衝動的に買ってしまい、あとで後悔した」という経験、ありませんか?
深夜帯は、ネットショッピングやテレビショッピングにも気を付けましょう。
深夜のテンションで「これ、いいな」と思っても、実は、その判断は冷静ではないかもしれません。
大して必要のないものを必要だと思ってしまったり、大してよくないものが魅力的に見えてしまったりと、これも「深夜のテンション」の影響であり、かつCMなどの広告が持つパワーなのです。
衝動的に買ってしまうのではなく、一旦、検討期間をおいてまた翌日に再考しましょう。できれば、自分の足で実際に商品を手にとって見たほうがベストです。
「深夜のテンション」のせいにすれば大抵のことは解決する
まあ、いざ深夜帯に変なことをしでかしてしまったとしても、
「昨日の言動は深夜のテンションのせいなのだ。私は何ひとつ悪くないのだ」
と自分に言い聞かせ、深夜のテンションのせいにしておけば大抵のことは丸く収まります。
しかし、ニュース番組などでよく聞く「ほんの出来心で」などと供述しているタイプにならないよう注意が必要です。 あの目線モザイクの方々は、少数派、いわばマイノリティです。
「どうにかなるべ」と思って流れに身を任せていたら、結局、どうにもならなくなってしまった可哀想な人たちなのです。
とはいえ、それは単に少数派の意見がメディアに取り沙汰されているだけであって、割合としては「なんとかなった」という人のほうが多いはずです。
というわけで、夜は早く寝ましょう。
朝型人間になろう
深夜テンションに振り回されない一番安全な方法は、朝型人間になるということです。夜更かしをせず、朝型中心の生活を送れば、心も体も健康になっていくはずです。
夜遅くまで起きていると自律神経が乱れ、さまざまな弊害を引き起こします。不健康な状態を続けるよりかは、朝型人間になって健康かつ効率よく人生を送りたいものですね。
日中はセロトニン、夜はメラトニン
ストレッチをしたり、日光を浴びることで、自律神経や脳など「体全体のコンディション」が整います。
日光を浴びると体内時計がリセットされて、睡眠ホルモンである「メラトニン」の分泌を抑え、同時に「セロトニン」の分泌が活性化します。
セロトニンの効果
- 覚醒作用
- ネガティブな気分を解消する
- 姿勢がよくなる
- 痛みを和らげる
いいことづくめのセロトニン。ぜひ運動や日光浴など朝型中心の生活を心がけ、セロトニンの量を増やしていきましょう。
まとめ
深夜帯はテンションこそは上がるものの、自律神経のバランスが乱れて不眠などの睡眠障害、うつ病を引き起こす危険性も少なくありません。
夜に行動すると理性が十分に働かず「素の状態」になりやすいので、できるだけ娯楽に時間を使ったほうが無難です。集中して作業したいことがあれば、早く寝て翌朝にやったほうがはるかに効率的でしょう。
疲れがたまると力が入らなくなったりするのと一緒で、人間の脳も一日中働かせていては正常に動かなくなることもあります。
やはり人間、夜は寝るのが一番です。睡眠は一日の終わりではなく、一日のスタートなのです。
まあ、たまには深夜のテンションでワイワイするのも楽しいです。しかし、理性が正常に働かず、思わぬ行動を取ってしまうこともあるのも事実なので、注意しましょう。
あえて深夜のテンションを利用して「クリエイティブなこと」に挑戦してみたり、感受性の高い状態で「読書」や「映画鑑賞」などを楽しんでみるのもいいかもしれませんね。
また、人間の感覚は寝ているときでも働いているので、音や光といった刺激によって睡眠が妨げられないように工夫することも重要です。
睡眠の質を上げるためにも、耳栓やアイマスクなどの快眠グッズを利用して脳をしっかりと休ませてあげましょう。
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