フジテレビ水10ドラマ『全領域異常解決室』の元ネタや出典まとめ

フジテレビ水10ドラマ『全領域異常解決室』(全決)の元ネタや出典をまとめています。

この記事の目的は、あくまでも「作品に登場する元ネタ・出典」を一箇所に記載しておくことであり、本編のストーリーを要約、または考察するものではありません。

内容は随時更新予定です。

第一話「シャドーマンと神隠し事件」

シャドーマン(シャドーピープル)

シャドーマン、またはシャドーピープルは、2006年頃からアメリカを中心に世界各地で目撃されている怪奇現象である。以下にその概要をまとめる。(参考画像はWikipediaより引用)

特徴

  • 人間の影のような真っ黒な人型の姿をしている。
  • 単独で出現し、動きが非常に素早い。
  • 帽子とコートを身につけているように見える場合がある。

目撃情報

  • 室内や屋外など、様々な場所で目撃されている。
  • 出現前に焦げ臭いにおいや静電気のような痛みを感じることがある。
  • 爆発音や家具の揺れなどの現象を伴うこともある。
  • 目撃者が体調不良になるケースも報告されている。

記録と証拠

  • 写真やビデオカメラで撮影されたケースがある。
  • 防犯カメラに記録された例もある。

正体についての仮説

  • 異次元の存在が投影されたもの
  • エネルギー生命体
  • 特殊な幽霊
  • 未確認動物(UMA)としての扱いもある。

シャドーマンは現代の怪奇現象や都市伝説として注目を集めており、その正体については様々な説が唱えられているが、依然として謎に包まれている。目撃情報は増加傾向にあり、世界各地で報告されている。

モザイクスプレー

作中のおいて、モザイクスプレーはプライバシー保護のためのスプレーとされており、フードを被った人間にスプレーを吹きかけることで、その人物をカメラで判別できない状態にする効果がある。

しかし、これは現実には存在しない架空の製品である。現在の科学技術では、スプレーを吹きかけるだけで即座にカメラに映らなくなるような技術は実現できない。

ただし、モザイクスプレーに類似した技術として、光学迷彩がある。光学迷彩は、視覚的なカモフラージュ技術として、研究が進められている分野である。

光学迷彩の概要

  • 定義:対象物を視覚的に透明化または周囲に溶け込ませる技術。
  • 方法
    • 1. カメレオンタイプ:周囲の映像を映し出して隠れる。
    • 2. 光屈折制御:光を屈折させて擬似的に透過させる。
  • 応用:主に軍事用途で開発中。兵士や兵器のステルス化を目指す。
  • 技術的課題
    • 見られる角度ごとの表示調整
    • 表示性能と装甲性能の両立
  • フィクションでの扱い:SF作品で多く登場し、現実にはまだ完全な実現には至っていない。

【参考資料】ハイパーステルス・バイオテクノロジー社「Quantum Stealth」(2019.10.24. )

修理固成(しゅりこせい)

この言葉には複数の読み方があり、主な読み方は以下の通りである。

  1. しゅりこせい
  2. おさめつくりかためなせ

ちなみに、作中では「しゅりこせい」と読まれていた。

意味と由来

「修理固成」は日本の神道思想において重要な概念である。この言葉の意味と由来は以下に記載する。

  • 起源:古事記に登場する言葉で、天神(あまつかみ)がイザナギとイザナミに与えた命令とされている。
  • 意味::まだ完全に形成されていない国をしっかりと作り上げ、固めていくことを指す。

*天神──高天原(たかまがはら)に住む神々の総称であり、イザナギとイザナミに国造りを命じた。

イザナギ(伊邪那岐命/伊弉諾神)

  • 男性の神。
  • 名前の由来は「誘う(いざなう)」と男性を表す「ぎ」から成る。
  • イザナミと共に日本の国土を生み出した。
  • 黄泉の国からの帰還後、禊(みそぎ)によって三貴子(アマテラス、ツクヨミ、スサノオ)を生んだ。

イザナミ(伊邪那美神/伊弉冉)

  • 女性の神。
  • イザナギの妹であり妻。
  • 名前の由来は「誘う(いざなう)」に助詞「な」と女性を表す「み」から成る。
  • 日本の国土や多くの神々を生んだ。
  • 火の神カグツチを産んだ際に命を落とし、黄泉の国へ去った。

現代的解釈

「修理固成」の概念は、単に神話の一部としてだけでなく、現代にも通じる思想として解釈されている。

  • 継続的な国づくり:この概念は、国が完成したものではなく、常に改善と強化が必要であるという考えを示している。
  • 個人の責任:各個人が国の発展と安定に貢献する責任があるという解釈もある。
  • 創造と再構築:鎌田東二氏によれば、この概念は世界を修理し、作り直し、固め直す能力を示唆しており、リコンストラクションやリメイクの思想にもつながるとされている。

「修理固成」は、古代の神話的概念でありながら、現代社会における継続的な改善と発展の必要性を示唆する思想として解釈されている。

蛭児(ひるこ)

蛭児はイザナギとイザナミの最初の子どもである。しかし、以下の特徴を持つ存在であった。

  • 骨がなく、弱々しい存在であった。
  • 正式な神として認められなかった。
  • 両親によって葦船に乗せられ、流された。

*葦船(あしぶね)──人の歴史においては最古の船とされ、 葦(パピルス・リード)を縄で束ねただけの原始的な船である。

黒髪切(くろかみきり)

作中では黒髪切と紹介されていたが、髪切という名前でしか確認できなかった。

『化物尽絵巻(ばけものづくしえまき)』に描かれている「髪切」について、以下のような概要をまとめることができる。

*化物尽絵巻は、犬神や猫またなど22種の化物が描かれた巻物である。著作者は北斎季親(ほくさいすえちか)。

名称と特徴

  • 『化物尽絵巻』では「髪切」が「鳶鬼(とびおに)」という名前で紹介されている。
  • この絵巻は江戸時代に制作されたもので、現在は個人が所有し、福岡県立美術館に寄託されている。
  • 実際の絵巻は、日文研デジタルアーカイブにて閲覧することができる。

描写の特徴

  • 『化け物尽し絵巻』の「髪切」(鳶鬼)の描写は、既存の妖怪画に詞書(ことばがき)を添えて制作されたと考えられている。
  • この絵巻に登場する全ての妖怪の名前が変更されているという特徴がある。

髪切(鳶鬼)の特性

  • 詞書によると、鳶鬼は出雲国の海辺に生息するとされている。
  • 鳶鬼の食性として、小魚や鳥の肉、鼠などを食べるとされている。

背景

  • この「髪切」(鳶鬼)の描写は、江戸時代に広く知られていた「髪切り」という妖怪の伝承を基にしていると考えられる。
  • 一般的な「髪切り」妖怪は、人間の頭髪を密かに切るとされる日本の妖怪で、17世紀から19世紀にかけて江戸時代の市街地でたびたび噂になっていた。

『化物尽絵巻』の「髪切(鳶鬼)」の描写は、江戸時代の妖怪文化や民間伝承を反映した興味深い例と言えるだろう。

髪切の奇談(かみきりのきだん)

作中で紹介された画幅「髪;カミ,髪切;カミキリ」は、国際日本文化研究センターによって公開されており、日文研デジタルアーカイブにて実物を閲覧することができる。著作者は、よし藤。

以下、国際日本文化研究センター怪異・妖怪画像データベースからの引用である。

江戸番町で起きた怪異を知らせる錦絵。4月20日の夜更けに、番町某屋敷の女中が便所に行ったところ、突然「真っ黒なる者」に襲われたという。女中は気絶してしまったが、物音に気付いた家人が集まり女中を起こすと、結っていた髪が切られ離れた所に落ちていたという。

「髪切りの奇談」は、江戸時代から明治時代にかけて日本で広く知られていた怪奇現象に関する話である。以下にその概要をまとめる。

現象の特徴

髪切りは、人が気づかないうちに突然頭髪を切られるという不可解な出来事を指す。被害者は主に女性で、特に商店や屋敷の召使いが標的になることが多かったとされている。

歴史的記録

  • 江戸時代の寛保年間(1741年-1743年)の説話集『諸国里人談』に記録が残っている。
  • 元禄時代初期には、伊勢国松坂(現三重県松阪市)や江戸の紺屋町(現東京都千代田区)で多発したとされている。
  • 明治7年(1874年)には、東京都本郷3丁目で「ぎん」という召使いの女性が被害に遭い、新聞でも報じられた。

髪切りの正体に関する諸説

  1. キツネの仕業説:室町時代の日記『建内記』や江戸時代の随筆『耳嚢』にこの説が記されている。
  2. 髪切り虫説:江戸時代後期の『嬉遊笑覧』に記載があり、想像上の虫が原因とされた。
  3. 人間による犯行説
  • 商業目的:かつら屋による自作自演説
  • 嗜好による犯行:頭髪を切ることに快楽を感じる人物による犯行
  • 迷信による犯行:健康祈願のため女性の髪を切るという迷信に基づく行為

文化的影響

  • 髪切り避けの札や呪文が流行した。
  • 江戸時代の絵巻物や錦絵に髪切りの姿が描かれている。

髪切りの奇談は、日本だけでなく中国やイギリスでも類似の事件が報告されており、国際的な現象としても注目されている。

猿田彦(さるたひこ)

これは、作中のセリフでは出ていなかったものの、デリバリースタッフ・芹田正彦の差し入れである謎の飲み物に書かれていた言葉である。

ストーリーに関連するかどうかは不明ではあるが、日本神話において重要な役割を果たす神であるので、念の為、記載しておく。ヒント:案内役。

サルタヒコ(猿田彦命)は、日本神話において重要な役割を果たす神である。以下にその概要をまとめる。

基本情報

サルタヒコは道祖神(どうそじん)として広く知られており、道の神、旅人の安全や道中の無事を守る神として信仰されている。

また、天孫降臨の際に天孫ニニギを地上に導いた案内役としても有名である。

特徴と外見

サルタヒコの特徴的な外見は以下の通りである。

  • 巨体:2メートルを超える背丈
  • 長い鼻:1メートルを超える長さ
  • 光り輝く顔:ホオズキのように光るとされる

この特異な外見から、天狗*の原型とも言われている。

天狗てんぐ)は、日本の伝承に登場する神や妖怪ともいわれる伝説上の生き物。一般的に山伏の服装で赤ら顔で鼻が高く、翼があり空中を飛翔するとされる。(Wikipediaより引用)

役割と能力

サルタヒコの主な役割と能力は以下の通りである。

  • 道案内:高天原から地上への案内役
  • 道の守護:旅人や交通の安全を守る
  • 方向を示す力:迷うことなく正しい方向を指し示す

神話における重要性

『古事記』や『日本書紀』に記されているサルタヒコの最も重要なエピソードは、天孫降臨の際の案内役としての役割である。

天照大神(あまてらすおおみかみ)の命を受けた天孫ニニギが高天原から地上へ降りる際、サルタヒコが道案内を務めた。

*天照大神──日本神話の最高神
*天孫ニニギ(ニニギノミコト)──天照大神の孫であり、天孫降臨の主役
*天孫降臨──ニニギノミコトが高天原から地上の葦原中国(あしはらなかつのくに)に降り立った出来事を指す

信仰

サルタヒコは日本全国で信仰されており、主に以下の形で祀られている。

  • 道祖神としての信仰:道端や村の入口に石碑や小さな祠が建てられる
  • 天孫降臨の案内役:神社や祭りでその役割が強調される