オカルトとライフハック──一見すると何ら関連性のないものですが、実は意外なつながりがあったりします。
それぞれの言葉について辞書を引いてみます。
2 目に見えないこと。隠れて見えないこと。
アプリケーションソフトやデジタル機器を効率良く使いこなすためのちょっとしたこつやテクニックから、業務目標の設定や健康管理にいたる、いわゆる仕事術、生活術を指す。
オカルトは超自然・神秘的現象、ライフハックは仕事術や生活術といった意味を持ちます。
さて果たして、超自然現象と仕事術・生活術にどのようなつながりがあると言うのでしょうか?
オカルトにハマって能力向上?
何を隠そう、僕には「オカルトにハマったことによりライフハックに目覚めた人間」と言っても過言ではない経歴があります。
具体的に言いますと、夢を介して異世界に行く計画を本気で立てていたんですよね。
そう、異世界──今の世界とは異なる世界です。ライトノベルの主人公達がトラックに轢かれたあとにこぞって行き着くあの場所です。
まあ少なくとも僕のイメージしていた異世界には剣や魔法は存在しておらず、今の世界の並行世界という認識でしたが。
異世界を目指すこととなった経緯
詳しい内容は割愛させていただきますが、大雑把に説明すると以下のような流れになります。
- "とある宗教"にハマった家に生まれる。自身最大のコンプレックスでもある。
- 中学校時代、いじめの対象となり、迫害を受ける。
- 現実逃避という名目のもと、オカルトへの扉を開く。
宗教といじめという呪縛から逃れるため、オカルトという救いに手を伸ばしたのです。ここまでは割とありがちな話でしょう。では続きです。
- 高校生時代、「ひとりかくれんぼ」という呪術──または降霊術──にハマり、自宅の玄関にて5mの赤い大女と遭遇する。
- 日常生活に支障が出るほどの幻聴・幻覚に悩まされる。端的に言えば"視える"ようになってしまう。
- 道路や線路に吸い込まれる感覚が度重なり、本気で「死」を覚悟、生前整理を始める。
- 死を避けるため、異世界に行く方法を模索し始める。
さてだんだんと雲行きが怪しくなってきました。おかしな降霊術に手を出したばっかりに日常生活に支障が出るレベルで心身の不調が起きてしまいます。
自死衝動こそなかったものの、身の回りで起きる不可思議な現象によって本気で「死」を覚悟していましたね。何せ生前整理を始めたぐらいですから。
- 某大型掲示板にて「夢を介して異世界(過去)に戻る方法」があることを知る。
- オカルトの研究対象が「夢」に移る。
- 明晰夢(夢の中で夢と気づく夢)や幽体離脱を研究し始める。
- 夢日記や瞑想を使ったトレーニングによる「夢のコントロール技術」を身に付けることに成功。
- 偶然にも「夢を介して過去に戻る方法」が成功しかけてしまい、目が覚める。今の世界でまだやることがある。
大きな転換期です。オカルトのせいで人生がメチャクチャになったにもかかわらず、それでもなおオカルトの力によって異世界に行こうとしていたんですね。
そして「夢のコントロール(以下、夢コン)」の技術を身に付け、偶然にも「夢を介して過去に戻る方法」が成功しかけてしまう──(これはあくまでも当時の僕の感覚ですが、本気で「あ、ヤバい。違う世界に引き込まれる」と思いました)。
異世界に行く前にやっておくこととは?
そのとき僕は「確信」に近いものを感じていました。この方法なら本当に過去に戻れるかもしれない、人生をやり直せるかもしれない、と。
しかし行き着く場所はおそらく並行世界とは言え、今の世界とは確実に違う場所であるはずです。そうなると当然、歴史だって、地理だって、言語や文字だって違うかもしれません。
『異世界に行く前に"学んでおく"ことは本当にないのか?』
過去に戻れる方法を見つけた、と完全に信じ切っていた僕は本気でそう自分に問いかけました。もちろん答えは否。
『──どうせ過去に戻るのならば、今のうちにできる限りのことをし、あちらの世界でどんなことがあったとしても対応できるようにしておかなければならない。目指すは「強くてニューゲーム」だ』
ひたすら能力開発・勉強に打ち込む
そう、僕は「異世界で強くてニューゲーム」するため、その日から勉強に明け暮れ、本当にたくさんの知識を詰め込んでいきました。
過去に行くためには自身が過去に実際に体験した「きっかけの夢」が必要であり、その夢の出現回数は完全にランダムだったため、いつ本当に過去に行ってしまうかが懸念材料でもありました。
そのため僕はさらに夢コン技術を磨くため、瞑想で精神を整え、読書で知識を蓄え、日記を書くことによって自身の成長記録を付けていったのです。
人生はもしかしたら「楽しい」ものなのかもしれない
僕はそれからというもの、神出鬼没の「過去に行くための夢」をできるだけ見ないよう生活リズムを整え、勉強や読書の効率を上げるため、瞑想や時間管理術を学び、実践していきました。
早寝早起き、運動や瞑想は欠かさず、日記を書き、成長記録をつけ、時間管理術を駆使しながら勉強や読書に打ち込む日々──。
その結果、どうなったと思いますか?
──その通り、過去(異世界)に行く必要がなくなってしまったんですよ。人生はもしかしたら楽しいものなのかもしれない、と感じはじめるようになっていたんです。
心身の調子が整ったことによって、身の回りで起きていた不思議な現象もほとんどなくなり、オカルトの要素が抜けきった生活には「ライフハック」の知識と技術だけが残っていたというわけですね。
まとめ
以上が「オカルトにハマった男がライフハックに目覚めるまでの全貌」です。
端的に言えば、オカルトのために身に付けた能力および知識・技術は、すべて「仕事術・生活術」にも十二分に応用できるものだった、ということですね。
その結果、日々の生産性は爆発的に上がり、人生がどんどん好転していきました。
オカルトの副作用
──ただ、弊害としては「夢の異常」が挙げられるでしょうか。
夢コンの技術を鍛えすぎてしまったばかりに、いつでも夢の続きを見られるようになり、夢の内容は自由自在──そうした「夢コン」を繰り返した結果、なんと夢の世界に「ひとつの新しい世界」が誕生してしまったのです。
いわば、この世界とは別の世界──継続夢とでも言いましょうか。本来、夢は日によって内容はバラバラ、夢と夢の間にも関連性は見受けられないものです。
ただ、僕の場合は「夢と夢が完全に同じ世界を共有」しており、関連性──つまり「つながり」があります。また、非常に夢の時間が長い。一日のうちに見た夢でも、長いときは体感上「2週間」も夢の中にいた経験があります。
もうかれこれ7~8年でしょうか。2021年現在も「夢の世界」は広がり続け、未だに少なくとも週1回はその世界の夢を見ています。
加えて、今では「夢コン」の技術を失っているため、僕はただその世界の行く末を見ていることしかできないのです(もちろん自分も自分であって現実世界の自分ではない)。
このあたりの話はまたの機会にするとしましょう。