安全かつ合法的に「トリップ状態」に入る方法まとめ

10代の頃から変性意識状態──目覚めてはいるが、日常的な意識状態とは異なった意識状態のこと──には興味があり、これまで15年以上、様々な方法を試してきました。

今回は、薬物など危険なものを使用せずに、比較的安全かつ合法的にトリップ状態に入る方法、そして、中でも特に効果の高かったと思うものをまとめていきます。

ただし、ひとつだけ注意点が。僕としては、最初から「トリップ」を目的とするのはリスクが大きいと感じています。変性意識状態はあくまで「結果」であり、そこだけに囚われてしまうと大事なものを見失う危険性があります。

簡単な話、トリップに執着しすぎると、アルコール依存症や危険ドラッグ、あるいは心身に悪影響を及ぼし兼ねないようなオカルト、スピリチュアル、陰謀論、その他、非科学的な分野へ傾倒してしまい、取り返しのつかない事態に発展してしまうこともある──ということです。

元・陰謀論者であり、元・自称霊媒体質者、自己暗示によって幻聴幻覚等の心霊現象をこの身で体験してきた僕が言うのだから間違いない。

この記事で取り上げている方法についても、実践は自己責任でお願いします。

トリップ状態やフロー状態を生み出す方法とは?

トリップ状態やフロー状態は、意識の変容や集中を伴う状態のことを指し、特定の状況下で脳内の神経伝達物質が変化することで生じます。これらの状態は、ランニングや瞑想、創作活動など、様々な手段で到達可能です。

それぞれの方法には、異なる脳科学的メカニズムが関与しており、薬物使用と比べると自然で持続可能な体験を得ることができると言われています。

以下では、具体的な例を挙げて、トリップ状態やフロー状態に到達する方法を説明していきます。

1. ランニングハイ

「ランニングハイ(ランナーズハイ)」とは、長時間のランニング中に脳内でエンドルフィン内因性カンナビノイドが分泌され、快感や高揚感を感じる現象です。

エンドルフィンは、体内で自然に作られる物質で、「自然のオピオイド」とも呼ばれ、痛みを和らげ、快感を引き起こします。この現象は薬物による快感と似ていますが、運動を続けなければ効果は持続しません。

ランニングハイの条件を簡単にまとめると、以下のようになります。

  • 持久的な運動: ランニングハイは、特にランニングなどの持続的な有酸素運動中に感じやすい。
  • エンドルフィンとカンナビノイドの分泌: 長時間の運動によって、脳内で「快感」や「幸福感」を引き起こす物質(エンドルフィン、内因性カンナビノイド)が分泌される。
  • 一定の運動強度: 軽い運動では起こりにくく、ある程度の強度で続けることが必要。
  • 個人差: 感じ方には個人差があり、誰でも同じように経験できるわけではない。

僕自身、自転車で日本を旅していたときにランニングハイを何度か体験しました。当時は、一日に5~8時間以上ペダルを漕ぎ続け、それを3か月ほど続けていたので条件は十分に満たしていたと思われます。

ランニングハイはあまりに強烈な感覚なので、『ランニングハイってこれかな?』といった曖昧なものではありません。その状態に入ったら『最高に「ハイ!」ってやつだアアアアアアハハハハハハハハハハーッ』となるので、確実に分かります。

とはいえ、そこまで深い状態でなくとも、ランニングなどの有酸素運動をある程度の強度で続けることで、だんだんと「気持ちいい感覚」は獲得することができます。運動は心身にもよいので、ぜひ習慣にすることをおすすめします。

2. 瞑想

瞑想は、特に上級者において、脳内でアルファ波やシータ波が増加し、深い集中や意識の変容を引き起こすことが知られています。脳の前頭前野やデフォルトモードネットワーク(DMN)の活動が抑制されることで、自己意識が薄まり、周囲との一体感を感じることが可能です。

ミンギュル・リンポチェの瞑想実験

ネパールの僧、ミンギュル・リンポチェは、41歳の時に脳年齢が33歳と診断されたほど、瞑想によって脳の若さを保っていました。彼が慈悲の瞑想を行っている間、脳の共感回路の活動が驚異的な800%増加を示しました。

これについて研究者は「科学では説明できないレベル」「最も類似するのは"てんかん発作"」と述べ、強力な脳の意識的制御の結果であることが明らかにされました。Altered Traits, 2017

また、長期瞑想者グループの脳波を研究すると、ミンギュルと似たような動きが確認できたそうです。

ただし、こうした変化は初心者では少なく、深い瞑想状態に入るためには継続が必要となります。

スキー場でのリゾートバイト中にあった実体験

僕は過去にスキー場のリゾートバイトをしていたことがあり、住み込みでワンシーズンまるまる働いていました。仕事以外の時間や休みの日は特にやることもなく暇を持て余していたので、ひたすら瞑想に打ち込んでいたんですよね。

その中で一度だけ強烈的に深い瞑想状態を体験しました。言葉で説明するのは難しいですが、重力から自由になって部屋の中を漂い、脳の中をひたすら泳いでいるような、そんな感覚──。

世界がどろどろに溶けていく可笑しさと、「これ以上深く潜り込むと帰ってこれない気がする」という恐怖を感じた瞬間、その状態は解けてしまいました。

以来、瞑想は習慣にしていますが、未だにあれほど強烈な体験はまだありませんね。

3. 祈り

深い祈りや宗教的儀式も、トランス状態や超越的体験を引き起こすことがあります。特に、集団での祈りでは他者との一体感が強まり、自己意識が薄れ、強い感情的な高揚感を感じることができると言われています。

実際、ある研究では、祈りの最中に、脳のアルファ波やシータ波が増加し、同時に前頭前野の活動が低下することが観察されています。これによって、神秘的な体験や外界との一体感を生むことができると考えられています。

僕は祈りによる変性意識状態は体験がありませんが、過去に「ひとりかくれんぼ」という降霊術を試して幻聴や幻覚を感じたのは、ある意味ではこれに近いのかもしれません。ただし、おすすめはしません。

4. 創作活動やスポーツにおけるフロー状態

創作やスポーツで集中力が極限まで高まると、フロー状態に入ることがあります。フロー状態では、自己意識が薄れ、時間の感覚を失うほどの深い没入感を得ることができます。これは、脳内でのドーパミンやエンドルフィンの分泌が関係しており、快感を伴います。

フロー状態では、脳の報酬系(ドーパミン系)が活性化し、自己意識を司る前頭前野の活動が低下するため、集中と没入感が生まれると考えられています。

フロー状態に入るには、継続的な取り組み習慣的な努力が重要だと言われています。

たとえば、スポーツや音楽、創作活動などでは、初心者がすぐにフローを体験するのは難しく、継続的な練習や経験を積むことで徐々にフロー状態に入りやすくなります。

5. その他の手法

他にも、以下のような方法でトリップや意識変容状態に近づくことが可能です。

  • 音楽:音楽は感情を揺さぶり、強い没入感を生むことがある。特に、特定のリズムや周波数の音楽は、脳波に影響を与えて意識を変容させる。
  • ホロトロピック・ブレスワーク:スタニスラフ・グロフが提唱した手法で、呼吸を利用して深い精神的体験を得るもの。急速かつ深い呼吸を行うことで、トランス状態に到達する。
  • 感覚遮断:感覚遮断タンクのように、外部刺激を遮断することで脳が新たな感覚を生もうとし、意識の変容が引き起こされる。

ホロトロピック・ブレスワークは少し試しただけで近い感覚が得られたので、他の方法に比べると比較的即効性があると言えるかもしれません。ただし、実行は自己責任で。

感覚遮断タンク(アイソレーションタンク)は『ストレンジャー・シングス 未知の世界』で超能力を引き出すためにも使われていましたね。日本にも体験スパのようなものはあるようですが、手軽に、自宅で、となると難しそうです。

とはいえ、感覚を遮断するだけなら、アイマスク質の良い耳栓があれば、いくらかは再現できるでしょう。

6. 薬物との比較

薬物は神経伝達物質の放出や受容体の直接刺激によって、強力なトリップ状態を引き起こします。たとえば、LSDやシロシビン(マジックマッシュルームの成分)は、セロトニン受容体に作用し、強い幻覚や意識変容をもたらしますが、依存や精神的リスクを伴います。

一方で、瞑想やランニングハイなど自然な方法は、神経伝達物質のバランスを徐々に調整し、長期的にはポジティブな精神的・身体的効果を生みますが、即効性には欠け、効果の強さも個人差があります。

おすすめは「運動」と「瞑想」

薬物を使わずにフロー状態やトリップ状態に達するためには、運動、瞑想、祈り、創作活動、音楽などが効果的です。

これらの方法は安全で持続可能なため、精神的な幸福感や注意力の向上が期待できます。それぞれの方法には異なる脳科学的なメカニズムが働いているので、薬物による意識変容とは異なり、より健康的で長期的な効果が得られるはず。

特におすすめなのは、ある程度の強度の有酸素運動を続けること、瞑想の習慣化、何か没頭できる創作活動やスポーツを探すこと。

あと、合わせて効果が発揮できそうなのは、短期間の禁欲──特に性に関するもの──、オートファジー──16時間のプチ断食、デジタルデトックス──スマホとPCの厳しい制限──あたりですかね。

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