AI活用で批判的思考力が落ちる?AIツールへの過度な依存がもたらす問題点とは

AI技術の急速な発展に伴い、僕たちの生活はますます便利になっています。

しかし、AIツールに頼りすぎることで、批判的思考力の低下情報への受動的な姿勢といった問題が生じる可能性があるのです。

今回は、AI時代に求められる批判的思考力について、その重要性と具体的な対策を詳しく解説していきます。

AIツールへの過度な依存がもたらす問題点

AIツールは、膨大な情報を処理し、欲しい答えを瞬時に提供してくれます。

──が、その便利さゆえに、人は知らず知らずのうちにAIに思考を委ね、受動的な情報消費者になりがち。これには十分に注意を払う必要があるでしょう。

1. 思考力の低下

AIの答えを鵜呑みにする習慣がつくと、自分で考えることをしなくなり、思考力や判断力が低下する可能性があります。

  • 批判的思考の衰退:情報の真偽を自分で判断せず、AIの答えをそのまま受け入れることで、情報を見極める力が育たない。
  • 問題解決能力の低下:困難な問題に直面した際に、自分で解決策を考えるのではなく、AIに頼るようになってしまう。

とはいえ、この点は「テレビでやっていたから」や「ホリエモンが言っていたから」といった草エビデンス提示法が未だに散見されることを考えると、何もAIに限った話ではないのかもしれません。

2. 創造性の阻害

AIは、既存のデータをもとに答えを生成するため、まったく新しいアイデアを生み出すことは得意ではありません。AIに頼りすぎると、人間が持つ発想力や創造性が狭まってしまう可能性があります。

  • 発想の画一化:AIが提示する一般的な解決策に頼りがちになり、多様性や独創性に乏しいアイデアしか生まれなくなる恐れがある。
  • リスク回避:AIは安全で確実な答えを優先するため、革新的なアイデアに挑戦する意欲が薄れてしまうかもしれない。

日本はもともと「正解主義」の傾向が強いため、AI技術の普及は、この傾向をさらに加速させる可能性があります。

参考:感想に正解はあるのか?現代社会の「正解主義」による弊害

3. 学習効果の低下

AIによってすぐに答えが得られる環境では、自ら深く考えるプロセスが省略されがちです。これは、真の理解知識の定着を妨げる要因となります。

  • 表面的な理解:AIが提供する要約や解説に頼ることで、物事の本質を理解する機会を失う。
  • 記憶力の低下:自分で情報を探し、整理するプロセスを経ないため、長期記憶として定着しにくくなる。

AI時代に必要な批判的思考力を育むには?

AIの恩恵を享受しつつ、その潜在的なリスクを回避するためには、批判的思考力を意識的に育むことが重要です。

1. AIの出力はあくまで「参考情報」と捉える

AIが生成した文章や情報は、絶対的に正しいものと捉えるのではなく、あくまでひとつの意見として受け止めることを心がけましょう。

その情報が信頼できる根拠に基づいているか、他の情報源と整合性があるかなどを、自分の頭で考えることが重要です。要は、疑ってかかったほうがいい。

2. 多様な情報源に触れる

AIだけでなく、書籍、論文、新聞記事など、様々な情報源から情報を収集することで、多角的な視点を養うことができます。

おすすめは、やっぱり紙の本。デカルトやカント、ニーチェあたりの入門書を読めば、なんと、本を読みながら批判的思考力を鍛えることもできます。実質、ゼロ円(何が)。

参考:「紙の本を買いなよ」から考える電子書籍と紙の本の使い分け

3. 疑問を持つことを習慣化する

AIの答えや提示された情報に対して、常に「なぜ?」と疑問を持つ習慣を身につけましょう。その情報の裏付けや論理の飛躍などを探ることで、批判的思考力が鍛えられます。

──"批判"と聞くと、もしかしたら悪いイメージを持つ人もいるかもしれません。

しかし、これはクリティカルシンキング(批判的思考)──つまり、「物事の本質を見極め、論理的に思考すること」という意味合いであって、"否定"とはまったく異なるものです。

『本当に"普通"なのか?』『本当に"必要"なのか?』という具合に『本当に"~"なのか?』という方程式に当てはめることで、これまで自分の中に形成されてきたスタンダードをぶち壊すわけです。

引用:人生における「なんか違うな」の原因は"幸せのギャップ"のせい?

4. 自分の意見を持つ訓練をする

AIの答えを鵜呑みにするのではなく、自分自身の意見を持つように意識しましょう。

そのためには、情報を取捨選択し、自分なりの解釈を加える訓練が必要です。ノートに考えをまとめたり、他者と意見交換したりするのも有効でしょう。

5. 創造性を刺激する活動を積極的に行う

絵画、音楽、創作活動など、自分の頭で考えることを必要とする活動に取り組み、創造性を刺激することも効果的です。

僕の場合、記事の執筆や音楽制作などを通して、脳を動かす楽しさを取り戻すようにしています。あと、毎朝ゲーム感覚でやっている「モーニングページ」も創造性が刺激されて非常に、良い。

*モーニングページ:「ずっとやりたかったことを、やりなさい。」で紹介されている、朝起きてすぐに思いつくままに3ページ書く手法。

参考:30過ぎて後悔「毎日やっておけばよかった7つの習慣」

【習慣化】モーニングページの効果的な書き方と5つのメリット【心のデトックス方法】

批判的思考力を磨く上で役立つおすすめの本

僕が読んできた中で特に批判的思考力を磨くことに役立ったおすすめの本も紹介しておきます。

あと、マーク・トウェインの「人間とは何か」もAI時代にぴったり。具体的な思考方法論を提示しているわけではありませんが、批判的な思考の基礎を養う上で役立つはずです。

ちなみに、ファクトフルネスは要約記事も書いています。

参考:【超要約】10分で読む『FACTFULNESS/ファクトフルネス』世界を正しく見る習慣が身につく

まとめ

AIは生活を豊かにする可能性を秘めた技術ですが、使い方次第では思考停止や創造性の低下を招く危険性も孕んでいます。

これは、AI技術を過度に避けること──ないしは、消費を拒否する生き方が広まることは、それはそれで創造性低下の要因ともなるので難しいところです。

AI時代に真に求められるのは、AIを単なる情報提供ツールとしてではなく、思考を深めるパートナーとして捉え、批判的思考力と創造性を活かしていく姿勢なのかもしれませんね。