AIの驚き屋が山ほどいる中で正確な情報を掴むことは難しいですが、少なくとも、数年以内にAIの進化が決して無視できない形で実現することは間違いないと思っておいて良いでしょう。これはガチ。
──で、ソフトとハードの両面でAIが一人の優秀な人間の知能を完全に超え、さらにそれが人類全体の知能を超えたときに起こるであろう変化について考えることは、今からでも遅くないはず。
現状、AIの進化スピードをナメている人が大半です。AI=ChatGPTのように思っている人も少なくありません。かろうじて、Gemini、次点でClaudeを知っているレベルがほとんどで、Mistral AI、Qwen、Deepseekといった名前が出てくることはほとんどゼロに近い。
「変化が起こってから考えれば良くね?」は確かに正しいし、僕のモットーにも近い考え方なのですが、ことAIに限っては例外だと思っています。
AGIやASI実現後の社会は、もはや1週間で、いや1日で技術が飛躍的に進歩するはず。例えるなら、「昨日植えたばかりのトマトの苗が、今日の朝見たらライオンになっていて、羽が生えて、どこかに飛んでいった」ぐらいのインパクトで、AIは日々進化していくはず。
AI進化の「盲点」とは?人間が気づかぬ内に進む、驚異のスケーリングでも書きましたが、指数関数的成長というのは、一般の人々が考える直線的なものでは決してないのです。
たとえば、一日目に2円、二日目に4円、三日目に8円──とお金をもらえたとしますね。この法則で30日連続でお金をもらったら総額はいくらになると思います?
10万円──? いや、違う。100万円? まだまだ。1億! まだ足りない。
正解は「2,147,483,646円(約21億円)」です。30日後で、これです。これが、指数関数的な増加というものです。
そして、おそらく、AGI(汎用人工知能:人間と同等、またはそれ以上の知能を持つAI)の実現は、人類にとって最後の発明になるのでしょうね。なぜなら、一度AI研究が自動化のサイクルに乗れば、AGIが人間よりもはるかに賢いASI(人工超知能)を生み出す可能性があるので。
「どうせお金持ちやテック企業が独占して、社会は結局変わらないんでしょ!」
──確かにその可能性は完全には否定できないものの、AIの「コモディティ化」と「専門化(断片化)」によって、最終的には社会全体で共有されるようになると僕は考えています。
実際、優秀な最新モデル(マルチモーダルを持つ)がオープンソース化する例(DeepseekやMiniMax)もありますし、何なら、NVIDIA Project DIGITS(机上に置ける小型AIスパコン)を使えば個人でも高度なAI開発できそうですし。
AIは控えめに言っても人類きっての偉大な発明であるので、最終的には「電気」のような立ち位置になっていくんじゃないでしょうか。
独占されないAIの未来|"電気"のように普及するマルチモデルとは?
まあ、早けりゃ年内、つまり2025年には、これまでAIにまったく興味なかった人も「AI、やばくね?」ってなるでしょうし、世界はもちろん、日本国内でも雇用削減の関連ニュースが話題になるでしょう。
どこかで見かけた「今50歳以下の人たちは、西暦2500年の世界を見ることになるだろう」という世迷言のような発言が、あながち本当に実現してしまうのかもしれません。
何はともあれ、まずは目の前のことから、ひとつずつ。ひとまず、ChatGPTに追加されたばかりの新機能「タスク」を遊び倒すとしますか。