近頃、自己肯定感を高めることを推奨するインフルエンサーや書籍を多く見かけますが、そもそも、自己肯定感を上げることそのものに違和感を覚える人も少なくないはず。
むしろ僕は、自己肯定感を上げようと意識すればするほど、本来の「自己肯定感」から遠ざかっていくのではないか──と感じることさえあります。
自己肯定感とは何か
自己肯定感とは、どのような状況においても自己をありのままに肯定できる能力を指します。
ここで重要なのは、「成功体験」や「自信」といった外的な要因に依存しない、という点です。
つまり、何かしらの成果を得たから自己肯定感が高まるというものではなく、成果や周囲の評価がなくても『自分はこれで良いんだ』と感じられることが、自己肯定感の本質であると言えます。
一方、自己肯定感を上げるために成功体験を積むこと、あるいは自分を鼓舞するような言葉を口にすることが推奨されることもあります。
──が、しかし、それらは本質的には「優越感」や「自尊心」の高まりに過ぎず、真の自己肯定感とは異なるものだと僕は考えます。
自己肯定感とは、いわば『何があっても自分は大丈夫』と自然に感じられる能力のこと。
それを他者に押し付けたり、自己肯定感が高いことを自慢するような態度は、自己肯定感とはまったく異質なものに見えて仕方がないのです。
逆説的ではありますが、極端な話、自己肯定感が低い自分をも受け入れることができる心の柔軟さが、究極の自己肯定感と言えるのではないでしょうか。
自己肯定感が低い要因を特定するほうが建設的
自己肯定感を上げるために成功体験を積む、自信を持つ、努力を重ねるといったアプローチは、一見すると有効なように思われます。
しかし、それらは一時的なものであり、根本的な解決策とは言い難い。
むしろ、自己肯定感を高めようとするアプローチよりも、自己肯定感を下げている要因を特定することのほうが重要です。
例えば、自分が自己否定的な思考に陥っている原因を探り、その根本にあるものを取り除くことが、自己肯定感を自然に高めるための契機になったり。
自分のことが嫌い、あるいは自信を持てない理由を理解し、それに対処すること、ネガティブな感情を切り離す努力をすることこそ、自己肯定感の向上に繋がるのだと思います。
自己否定の癖を減らしたり、自己を激しく批判する思考を客観的に捉えたりする訓練などを通して、自己受容の感覚を鍛える──。結果、自然な自己肯定感が生まれる──。
つまり、外的な成功や結果に依存するのではなく、内的な対話を通じて自分を理解し、受け入れることが「本当の自己肯定感」を手に入れるための鍵となるわけです。
まとめ
- 自己肯定感を上げるために表面的な成功体験や自信に頼るのではなく、自己肯定感を低下させている要因を見つけ、その対処に努めることが重要
- 自己否定的な思考を改善し、ありのままの自分を受け入れるプロセスを経ることで、自己肯定感が自然に育まれ、外的要因に左右されない柔軟性が手に入る
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