「漠然とした不安に急に襲われる」
「常に時間に追われている感覚がある」
「なぜかいつも気持ちがそわそわしている」
「不安や焦りを感じて眠れなくなることがある」
「特に立て込んでいる事がないのに漠然と不安や焦りを感じる」
このような経験をしたことはありませんか?
原因不明の焦燥感や危機感、理由なき不安感、もやもや、そわそわ──。
その原因は、もしかしたら「マルチタスク」、さらに具体的に言えば「スマホ」かもしれません。
不安には2種類ある
不安には、
- 原因がわかってる不安
- 原因がわからない不安
の2種類があります。
原因が分かっている不安
「もし失敗したらどうしよう」「バカにされたらどうしよう」「トラブルが起きたらどうしよう」
こういったものが、原因が分かっている──つまり、「正体が分かっている不安」です。
不安の対象がはっきりしてるので、状況や起こりうるトラブル、出来事に対するリスクを把握し、適切に対処すればある程度は不安を軽減することができます。
原因が分からない不安
原因が分からない──つまり、「不安の正体が分からない」場合には対策のしようがありません。
逆に言えば、「正体さえ分かれば、対策ができる」ということでもあります。
「対象」がなくなれば不安は解消される
不安を感じるということは、何かしら「対象」が存在するということです。
対象がなくなれば自然と不安は解消されますし、不安を感じる必要もありません。
たとえば、仕事で重要な会議があり、大事なプレゼンをしなくてはならないとしましょう。
失敗するかもしれない、緊張して上手く喋れないかもしれない、否定的な態度を取られるかもしれない——。
そうやって不安や焦りを感じることもあるかもしれませんが、いざプレゼンが終わってしまうと、
「なんだ、案外楽勝だったな」「思っていたより平気だったな」と思ってしまうものです。
あれほど感じていた不安や焦りはどこへやら。もう超すっきり。腸内環境まですっきり、みたいな。
通常、不安は「対象」がなくなると自然と消えるものなのです。
漠然とした不安の正体はマルチタスクだった?
漠然とした不安を感じるタイミングって、案外、休みの日や暇なときが多いと思いませんか?
忙しいとそんなことを考える余裕さえないですもんね。
精神的にプレッシャーもなければ、差し迫って解決しなければならない問題もない。そんな「休みの日」にさえ漠然とした不安や焦りを感じてしまう──。
その原因は、マルチタスクにあるかもしれません。
マルチタスクは今すぐやめたほうがいい
マルチタスクとは、複数の作業を同時に、もしくは短期間に並行して切り替えながら実行することです。「ながら作業」と言ったほうが分かりやすいでしょうか。
一見、効率的に思える「マルチタスク」ですが、実は、マルチタスクは今すぐやめるべき、超非効率的な行為なのです。
- 生産性が40%落ちる
- 作業ミスが50%増える
- シングルタスクに比べ作業時間が50%長くなる
上記の3つだけでも、「マルチタスクは今すぐやめるべき」ということがお分かりいただけるかと思います。
マルチタスクは脳に悪い!やめれば仕事の生産性が40%アップする
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脳は未完のものを意識する
人間の脳は、未完のもの──つまり、達成できていないことや、中断していることに強い記憶や印象を持つ性質があります。
完了していない作業を考え続けたり、続行したりといった「ながら作業」を無意識のうちに行っているので、作業が飽和状態になりやすい。
よって、中途半端な状態でタスクを何個も抱えてしまうと、意識があちこちに分散してしまって、目の前のことに集中できなくなってしまうのです。
いわば、脳の大事なリソースをマルチタスクに喰われてしまっている状態ですね。
マルチタスクが漠然とした不安や焦りを誘発する
マルチタスクは非常に効率が悪い反面、新しい刺激を得るにはぴったりな方法です。
つまり、マルチタスクは、充実感や満足感こそ得られるものの、常にたくさんのタスクを抱えている状態だということです。
脳がたくさんの仕事を中途半端に抱え込んでしまっているために、漠然とした不安や焦りを感じてしまうんですね。
そんな状態で休もうと思っても、頭の中ではいろいろなことを解決しようと脳が活動しているので、ロクに休むことができません。
スマホはマルチタスクが当たり前
「マルチタスクとかやってないよ?」と思う人もいるかも知れませんが、実は、スマホこそがマルチタスクそのものなんです。
気になるニュースをチェックして、いろいろなサイトやブログを見て、友人のSNSを眺めて、LINEが鳴ったらアプリを開いて、YouTubeを観る──。
効率的に情報収集をしているようにも思えますが、脳にとっては、めちゃくちゃよくない行動です。
この状態は、いわば「情報を浅く広く」仕入れてる状態です。つまり、意識があっちゃこっちゃに分散しているから、物事に集中しなくて済みます。
逆に言えば、マルチタスクをやめないと、だんだんと物事に集中できなくなっていくということです。怖いね。
スマホによるマルチタスクはスマホ依存を引き起こす
マルチタスクは、脳の認知機能全般に悪影響を及ぼす1ことが分かっています。
マルチタスクによって集中力が低下し、誘惑に弱くなり、脳は新しい刺激を求めるようになると、「スマホ→マルチタスク→脳にダメージ→スマホ」という「悪循環」が生まれてしまいます。
気が付いたら頭が悪くなっていて、集中できなくなっていて、おまけにスマホに依存もしているしで、もう散々な結果が待ち受けているのです。
SNSには気をつけろ
特に、SNSには気をつけたほうがいいでしょう。
TwitterのTLで新しいツイートが更新されてないか、30分も、1時間も、TLを開きっぱなしにしてぼーっとしてませんか?
時間を無駄にしているとは思いつつも、SNSで時間を無駄にしちゃう。分かっているのにやめられない。
そういった罪悪感もよくないですし、加えて、「SNSそのものがメンタルに悪影響を及ぼす」ということも判明しています。
オーストラリアのインスブルック大学によると、Faccebookに費やす時間が多い人ほど気分が落ちやすかった2という研究結果が出ています。
「ネットを見ていただけのユーザーには気分の落ち込みは確認されず、SNSユーザーのみ幸福感が減った」
研究者によると、SNSは他人への妬みの感情を誘発したり、人生への不満が増大したりするそうで、その結果、気分が沈んだりするケースが多いのだそうです。
「SNSの使用時間を1日30分に抑えると気分の落ち込みと孤独感が減少する3」ということなので、思い当たる方は、まず利用時間を制限するよう心がけてみてください。
漠然とした不安や焦りを解消するためには?
何よりも、スマホのせいで時間が分断されてしまっていることが最大の問題です。
意識的にひとつのことをじっくり考える時間を作るようにしましょう。「スマホを使うな」と言っているわけではなく、用途を決めるということです。
確かに、スマホは便利ですが、すべての機能を使おうとせずに、自分の生活がより豊かになる使い方ができればそれが一番です。
AppleのCEOであるティム・クックさんも「みんなiPhone使いすぎじゃね? ちょっと一旦そこに置こうぜ?」と言っていますし4。
具体的な3つの対策方法
- SNSの用途や使い方を見直す
- ひとつのことに集中する機会を意識的に増やす
- LINEやメールをチェックする時間をあらかじめ決めておく
マルチタスクをやめて、ひとつの作業に30〜50分ほど集中し続けることを意識しましょう。
そうすることで創造力や集中力を取り戻すことができますし、さらに散歩や音楽鑑賞をすれば脳がリラックスモードに入ることも分かっています5。
不安や焦りは準備を促すためのもの
そもそも、不安は何らかの準備を促すためのものです。たとえば、「テスト近い→勉強してない→ヤバい(焦る)」といった感じですね。
ここで一度、「不安」と「恐怖」と「焦り」の違いについて考えてみましょう。
不安と恐怖と焦りの違いとそれぞれの対策方法
「不安」の特徴・対策
- 対象は漠然としている
- 未来の出来事に対して抱くもの
- 対策・対処がわからない場合に起こる
- 何かをしなければならないときに起こる
対策
自分がどんなことに不安を感じているのか、まず何からはじめていけばいいかを考える。無闇に対処を急がない。
「恐怖」の特徴・対策
- 対象ははっきりしている
- 現在直面している出来事に対して抱くもの
- 危機的状況であり、すぐに対処が必要である
- どうしなければならないかがある程度決まっている
対策
恐怖を解消するためには自分に何ができるかを考え、それを実行する。
「焦り」の特徴・対策
- 対象ははっきりしている
- 近い将来に対して抱くもの
- 準備不足、もしくは気持ちが向いていない
- 何らかの対応が必要だと感じているときに起こる
対策
何らかの対処をするように警告をしているだけ。必要以上に自分にプレッシャーをかける必要はない。
感情には目的が存在している
不安にしろ、恐怖にしろ、焦りにしろ、感情は行動を促すためのものです。必ず「目的」が存在します。その目的を達成するために必要な準備をしているに過ぎないのです。
考えるべきこと、準備すべきことがある、もしくは過度なストレスを感じている、という警告かもしれません。
環境が変わらずとも、知らず知らずのうちにストレスを溜め込んでいる場合もあります。
未来は今日の積み重ねです。「今日できる最善に全力を尽くす」ということが大事なのではないでしょうか。
Q.特に朝、漠然とした不安や焦りを感じるんだけど?
A.朝は脳が冴えてるから
朝は脳がリフレッシュした状態で、特に神経が鋭い──冴えている──タイミングです。
よく言えば「自分の思考に集中できる時間帯」であり、悪く言えば「自分の思考に集中しがちな時間帯」です。
今日起こるであろう出来事や問題について必要以上に考えてしまい、不安や焦りが発生してしまうんですね。
特に、朝起きてすぐにSNSチェック、というのは一番やってはいけないパターンです。
そもそも、SNSだけでもメンタルによくないですし、特に、頭が冴えている朝は悪影響を受けやすいです。
漠然とした不安や焦りを感じていないにしても、「最優先でやめるべき悪習慣」と言えるでしょう。
まとめ
僕は専門家ではないので、もしどうしても辛い場合には医師や薬の力を頼りましょう。
いくら考えても仕方がないことはしたくさんありますし、答えがないものだって人生には腐るほどあります。
あまり深く考えすぎず、いつかなんとかなるだろう、とそのぐらい気楽に過ごせれば一番いいものです。
強烈な不安感や焦燥感がなかなか消えない方は、もしかすると、なんらかの「精神疾患」である可能性もあります。精神科や心療内科の診療を検討している方は、僕がうつ病&PTSDと診断されるまでの話を参考にしてみてくださいね。
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