Notionをやめた3つの理由とは?Evernoteから移行して感じたこと

Notionは、メモ作成やプロジェクト管理、タスク管理のためのオールインワンワークスペースです。

メモ、タスク、データベースなどを一括に管理することができるため、「神アプリ」「万能ツール」と評されています。

実際、僕も「Notionが便利すぎてキレそう」という記事を書いてしまうほどにはNotionにハマり、僕の「すべて」をNotionに記録するようになっていきました。これまで10年ほどお世話になっていたEvernoteとPocketは、その時点でお役御免となったのです。

しかし、Notionを使い始めて3ヶ月と経たぬ内に、「あれ? やっぱり使いにくいな」と思うようになり、だんだんとNotionから離れていきました。

結論からいうと、僕はNotionをやめて、アナログ記録に移行しました。

「Notionをやめた3つの理由」をまとめていきながら、どうNotionからアナログに移行したのかを書いていきます。

今回のケース:家で作業することの多いフリーランス。データを他人と共有することは少なく、ほとんどの作業は一人で行っている。

2023/4/7:重要な追記ChatGPTの登場に伴い、Notionに対する考え方も変わった

「なんでもできる」からこそ中途半端

Notionの読書管理画面

Notionで記録していたものは、以下の通りです。控えめに言っても、僕の「すべて」のデータベースになっていました。

  • 日記
  • 睡眠ログ
  • 日々の行動記録
  • 欲しいものリスト
  • 習慣化したいこと
  • スケジュール管理
  • プロジェクト管理
  • 初めて知った言葉など
  • 読みたい本⇔読んだ本
  • 習慣行動チェックリスト
  • 心に留めておきたい名言集
  • 今日・今週・今月やること(日記とリンク)

ただ、なんでもできるからこそ、それぞれの用途には「中途半端」な機能だとも思えてしまうのです。

万能ゆえに専門アプリには勝てない

"かゆいところ"に届かないというか、"かゆいところ"には届くけど面倒というか──。Notionは本当になんでもできるので、むしろ、できないことを探すほうが難しいかもしれません。

どんなに小さなTipsであれ、すでに先人たちがTwitterやYouTube、Noteなどで「Notionの使い方」を解説しているし、アイデア次第でいかようにも自分に使いやすいようカスタマイズすることもできます。

──であるがゆえに、To-Do管理も、スケジュール管理も、行動記録も、各専門アプリに劣る機能性になってしまいがちなのです。

一度、自分にとって使いやすいテンプレートを作ってしまえば、あとは別分野にも使い回すことができるので、その点はとても便利です。

とはいえ、Notionを使えば使うほど、

「Dueだったらもっと楽にできるのになあ」
「エバーノートならもっと爆速でメモを取れるのに」
「習慣ログはやっぱりアナログのほうがすっきりしてていいなあ」

と、細かい不便さに目が行きがちになってしまうんですよね。

管理することが増えすぎて「本質」を見失う

小さなストレスは、やがて溜まりに溜まって大きなストレスとして肩に重くのしかかってきます。

「なんでもできるから」とNotionを使いこなすことに夢中になってしまうと、自分にとって本当に大事なこと、つまり、「本質」を見失ってしまうことも十分に考えられます。

Notionやエバーノートといったデータベース──第二の脳としての母艦となり得るアプリケーションというのは、「どっぷり浸かってみて初めて"真価"を発揮する」ツールです。

その点、Notionはあらゆるアプリをひとまとめにしたような万能性を持っているので、どんなことでも「まるごと記録」でき、「効率化をはかる便利な機能」は一通り揃っています。

できることが多いということは、つまり、「管理する要素が多くなる」ということです。

Notionに「使われる」感覚

どっぷりと浸かるぐらいに使い込むことなくして、Notionの真価を発揮することはできません。しかし、使い込むほどに、

「もっといろいろな機能を試したい」
「もっと便利な方法があるんじゃないか」
「使っていない機能があるなんて、損をしている」

──と、「もっと使いこなしたい欲」が出てきます。使いこなしたいという気持ち自体は悪ではないものの、あまりに管理することが増えすぎると、余計なことに時間と集中を邪魔されがちです。

「え、自分で機能を絞ればいいんじゃないの?」と思う方もいるでしょう。確かに、用途を絞ることも、あえて機能を絞ることも、Notionであれば可能です。

でもさ、やっぱり、持っている機能は使ってみたいし、Notionをバリバリ使いこなせたらかっこいいじゃあないですか。

僕はどちらかというと職人気質というか、完璧主義者というか、ギークにあこがれがあるというか、まあ「高機能なものなら、そのすべての性能をすべて引き出したい」と考えてしまうタイプです。

ゆえに、Notionにある機能はすべて知っておきたいし、使いこなしたいし、もっと便利な方法を模索していきたい、という気持ちが強すぎるのです。「できるけど不要な機能」ならば、最初から「できない」ようにしてほしい。わがままだけど。

あまりに使っていない機能がありすぎると、「あれ? なんか損した使い方してない?」という気持ちになりますし、「管理する要素」が増えすぎると、「あれ? 僕、Notionに"使われている"気がする」という気持ちになってしまうのです。

「高機能」すぎてメモやノートとして使いにくい

僕がメモやノートに求めることは、

  • 速さ
  • 広さ
  • 組み合わせ

の3つです。

速さ──何より、メモはスピードが命です。とっさに思いついた企画やTo-Do、何気ない疑問、買い物リストなど、あらゆるアイデアは時間が経つごとに腐っていきます。

Notionでは、メモのスピートを最速にするために「Fast Notion」というアプリを使っていました。確かに素早くメモすることはできるのですが、なんとなく「Fast Ever」のような軽快さに欠けると感じました。ほんの小さなコンマ数秒の速さ、UI、挙動、アニメーションの差なのですが、そのちょっとの差が大きい。

広さ──メモやノートには、広さが必要です。広いデスクで仕事がしにくいのと同じで、メモやノートもスペースが大きいに越したことはありません。広さがなければアイデアも派生しにくく、思考の限界点も無意識のうちに「1画面の中」に固定されてしまう傾向にあります。

組み合わせ──メモやノートは、内容を見返し、それぞれのアイデアと組み合わせることで本来の力を発揮します。メモ同士を感覚的に並び替えたり、上下左右の位置関係を入れ替えたりして、全体を俯瞰、あるいは視覚的に把握することができるのです。

Notionだけに限った話ではありませんが、デジタルツールは特性上、「並び替え」に対しての機能がアナログツールよりも劣ります。高機能であるがゆえに、逆に不便になってしまっている部分もあるんですね。

Notionからアナログへ

Notionでなんでもかんでも記録する生活から、「本当に必要な記録のみをアナログツールで行う」という生活に切り替えました。

具体的には、以下の通りです。

  • 睡眠ログ
  • 習慣ログ
  • 行動記録メモ

以上の3つは、それぞれ専用のテンプレートを作成し、A4用紙に印刷。

  • 日記
  • スケジュール管理
  • プロジェクト管理

以上のようなものは、すべて1冊のB5サイズの方眼ノートにまとめています。

アイデアの書き出しやTo-Do管理は、空白のA4用紙、もしくは、部屋の壁に設置してある「横180cm×縦90cmのホワイトボード」、または「XMind(マインドマップ)」でやっています。

Webクリップ問題について

「あとで読む」「参考資料として保存」「気になったブログ記事をストックしておく」というときに便利なのが、Webクリップです。

任意のWebページをクリップしておけば、あとでオフラインでも記事を読むことができ、記事の管理も容易になります。

僕は、Webクリップのツールとして「PocketとEvernoteの併用」から「Notion」へ乗り換えた勢ですが、これからはやはり「Evernote」に集約しようと思います。

「あとで読む」で保存した記事は「あとで読まない」

ただ、あくまで「参考になった記事のアーカイブ」としてEvernoteを使うだけであって、積極的に「あとで読む」といった使い方はWebクリップではしていません。

正直、「あとで読もう」と保存した記事は、「あとで読まない」ことが多いです。「記事を保存した」という安心感からか、「いつでも読めるし、読むのはいつでもいいか」となってしまいがちなんですね。

気になった記事を確実にインプットするための工夫としては、

  • タブで開きっぱなしにしておく(あとで読む)
  • 記事を検索するために必要なキーワードだけを覚えて、メモをしておく(記事はEvernoteのアーカイブボックスへ)
  • さっと内容に目を通し、ひとつ、ふたつだけ「新しい知識」を仕入れ、Twitterやメモ帳に手打ちでアウトプット(記事は閉じてしまう)

以上の3つを心がけることで、「あとで読む」の記事がどんどん溜まっていくということは防げますし、時間を節約しつつインプットの量を増やしていくことができます。

まとめ

Notionをやめた3つの理由

  • 「なんでもできる」からこそ中途半端
  • 管理することが増えすぎて「本質」を見失う
  • 「高機能」すぎてメモやノートとして使いにくい

ChatGPTの登場によってNotionへの考え方にも変化が

2022年11月に人工知能チャットボット『ChatGPT-3』が公開されたことに伴い、Notionに対する考え方も変わりました。

さらに詳しく言うと、Chromeの拡張機能『ChatGPT to Notion』が最強でしたね。この拡張機能は「ChatGPTでのチャットをワンクリックでNotionに保存できる」というもの。

まだ有料版であるChatGPT-4とNotion AIには手を出していないのですが、今後はChatGPTをアクティブに使い、Notionは母艦として活用する方向になりそうです。

あくまでも「アウトプットはアナログ中心」という考え自体は今も一貫しているので、また複数のアプリケーションを併用して使いながら自分なりの活用方法を模索していく流れになるでしょう。

まとめると、今後しばらくは以下のような使い分けになりそうです。

  • アナログツール:日記やアイデア出し、脳の排水、雑念、ToDo、タスクなど
  • Evernote:Webクリップ、画像、資料などのアーカイブとして
  • Notion:ChatGPTのアーカイブ、記事作成時の相棒
  • ChatGPT:総合アシスタント

Notionは万能すぎるがゆえに反生産性──作業効率を下げたり、無駄な時間やコストを増やす行動や状況のこと──を引き起こす可能性が高いと感じています。

情報をひとつのアプリケーションに一元管理できるというのは非常に魅力的ですし、憧れもあります。

しかし、僕は行う作業の性質、言い換えるならば「使う脳の部位によってツールを使い分けたい」人なので、このような使い分けになりました。

アプリが多すぎて管理しきれない現代社会では、特に「ツールごとにあえて担わせる役割を限定する」という考えが重要な気がしています。

たとえサブスク形式でツールを使っていたとしても、使う側と使われる側の主従関係は絶対に崩させない。間違っても「ツール本来の力を引き出さないと損をする」だなんて考えないこと。

ましてや、自分のようにHSPやうつ病、PTSDを抱える人のようなマイノリティにとっては「頭に入ってくる前段階での情報の取捨選択」が文字通り、命。

ツールが持つ機能をすべて使おうとするから反生産性は起きてしまうわけで、重要なのは「能動的な役割の限定化」であり「能動的な機能の縮小化」だと僕は思うのです。