瞑想をやってはいけない人とは?マインドフルネスのリスクと注意点

近年、マインドフルネス瞑想が注目を集めています。ストレス軽減や集中力向上など、様々な効果が期待できる一方で、全ての人に適しているわけではありません。特定の状況下では、瞑想が逆効果になる可能性もあるのです。

この記事では、瞑想をやってはいけない人、そのリスク、そして安全に瞑想を行うための注意点について詳しく解説します。

また、記事の後半では、実際に「精神科にてうつ病とPTSDと判断された僕が瞑想を始めるまでにやったこと」も簡単にまとめておきます。

瞑想をやってはいけない人

マインドフルネス瞑想は多くの人にとって有益ですが、以下のような状況にある人は注意が必要です。

重度の精神疾患を抱えている人

重度のうつ病やPTSD(心的外傷後ストレス障害)などの精神疾患を抱えている人は、瞑想によって症状が悪化する可能性があります。瞑想中に抑圧された感情やトラウマが表面化し、精神状態を悪化させるリスクがあるのです。

過去のトラウマを抱える人

過去のトラウマを抱える人、特にPTSDの症状がある人は、瞑想中にトラウマ体験がフラッシュバックする可能性があります。これは強い不安やパニックを引き起こす可能性があります。

自傷行為などの経験がある人

自傷行為などの経験がある人は、瞑想によって自己否定的な思考が強化され、危険な行動を引き起こすリスクがあります。

精神病的な症状を持つ人

幻覚や妄想を伴う精神病的な症状を持つ人は、瞑想がこれらの症状を悪化させる可能性があります。

マインドフルネス瞑想の危険性

マインドフルネス瞑想には以下のような具体的な危険性が存在します。

1. 感情の過敏化

瞑想によって感情に対する意識が高まり、逆に感情が過敏になってしまうことがあります。日常生活において些細なことでも強い感情反応を引き起こす可能性があります。

2. トラウマの再体験

瞑想中に過去のトラウマがフラッシュバックすることがあります。特に、PTSDを抱える人にとってはリスクが高く、強い不安やパニック発作を引き起こす可能性があります。

3. 不安の増加

瞑想によって、抑圧されていた不安が表面化し、一時的に不安感が増加することがあります。これにより、瞑想が逆効果となり、精神的な安定を損なう可能性があります。

4. 精神的な不均衡(魔境)

瞑想が深まる過程で、一時的に精神的な混乱や不安定さを感じる「魔境」と呼ばれる状態に陥ることがあります。現実感の喪失や強い恐怖感を感じ、日常生活に支障をきたす可能性があります。

瞑想の落とし穴「魔境」とは?特徴・危険性・回避方法を解説

5. 依存症のリスク

マインドフルネス瞑想に依存し、瞑想を行わないと不安になったり集中できなくなったりする状態に陥る可能性があります。現実の問題に対処する能力が低下し、瞑想が逃避手段となるリスクがあります。

安全に瞑想を行うための注意点

マインドフルネス瞑想を安全に実践するためには、以下の点に注意することが重要です。

1. 専門家の指導を受ける

特に、精神的な問題を抱えている場合は、医師や心理療法士に相談してから瞑想を始めるようにしましょう。専門家の指導を受けることで、リスクを最小限に抑え、効果を最大限に引き出すことができます。

2. 無理をしない

瞑想中に強い不快感やネガティブな感情が生じた場合は、無理をせず中断し、必要に応じて専門家の助けを求めましょう。

3. 安全な場所で瞑想を行う

自宅や信頼できる友人の家など、リラックスできる安全な環境を選びましょう。

4. 短時間から始める

最初は5分から10分程度の短いセッションから始め、徐々に時間を延ばしていくようにしましょう。

5. グラウンディングテクニックを活用する

足の裏を感じる、深呼吸をするなど、現在の瞬間に意識を集中させるグラウンディングテクニックを活用しましょう。これは、トラウマによるフラッシュバックや解離症状を防ぐのに役立ちます。

6. ガイド付き瞑想を利用する

音声やビデオを通じて指導者の指示に従いながら行うガイド付き瞑想は、初心者でも簡単に始められます。専門家が提供するガイド付き瞑想を利用することで、安心して瞑想を行うことができます。

7. 他の治療法と併用する

マインドフルネス瞑想は、トラウマ治療や精神的な問題の一部として、心理療法やカウンセリングと併用することで、より効果的な治療が期待できます。

瞑想中の不快感への対処法

瞑想中に不快感が生じた場合、以下の方法で対処しましょう。

  1. 不快感を認識する:「今、不快感を感じている」と心の中で認識し、その感覚を評価せずに観察する。
  2. 呼吸に意識を戻す:深呼吸を行い、呼吸のリズムに意識を集中させる。
  3. グラウンディングテクニックを使用する:足の裏を感じる、手をこすり合わせる、周囲の音や匂いに意識を向けるなど、不快感から意識をそらす方法を試す。
  4. 瞑想の姿勢を調整する:座り方を変える、背筋を伸ばす、クッションを使用するなど、快適な姿勢を見つける。
  5. 瞑想を一時中断する:強い不快感が続く場合は、瞑想を中断し、リラックスできる活動(散歩、ストレッチ、音楽を聴くなど)を行う。
  6. 専門家の助けを求める:瞑想中の不快感が頻繁に生じる場合や強い場合は、瞑想の指導者や心理療法士に相談する。

うつ病とPTSDと判断された僕が瞑想を始めるまで

実際にうつ病とPTSDになった経験がある僕は、まずは病気の症状が落ち着くまで待ち、主治医やカウンセラーと相談した上でマインドフルネス瞑想を始めました。

症状が酷いときに瞑想を行ったこともありますが、目を瞑った途端から過去のトラウマがフラッシュバックしたり、不安や焦りが急に襲ってきたりして、とても集中できたものではなかったですね。おそらく30秒も保たなかったんじゃないでしょうか。

それから投薬と月1回のカウンセリングを半年ほど続けて、やっと数分──3分ほどの瞑想が平気になりました。

うつ病やトラウマを抱えている人は、まず病気の治療と療養に専念しましょう。瞑想の実践は症状が落ち着いてきてからでも遅くないので。

ここで、カウンセラーの先生に「トラウマ治療におすすめの本ないですか?」と聞いて教えてもらった『こころを癒すノート』をおすすめしておきます。

"認知処理療法の自習帳"と銘打っているだけあって、自分のペースでトラウマと向き合うことができ、とても良い本でした。