イヤホンが落ち着く心理とは?聴覚が敏感な人は「空イヤホン」で音を遮断しよう

とにかく、うるさいことが嫌いです。

バイクの騒音はもちろん、車道を走る車のエンジン音、電車内で飛び交う会話、誰かが遠くで騒いでいるような声、虫の羽音、なんなら、街の喧騒すらイライラします。

「秒針の音がうるさいから」という理由で、部屋には「カチカチと音の鳴る時計」は置いていませんし、基本的に一日中「空イヤホン」か「耳栓」をして過ごしています。

自分自身で「音に対しての覚悟」があれば、もしくは「音がうるさくても諦めている事柄」であれば、仕方がないとある程度は割り切れるんですけどね。

今回は、「空イヤホンが落ち着く3つの心理」と「聴覚過敏な人のための対策法」をまとめていきます。

「空イヤホン」が落ち着く心理とは?

「空イヤホン」が落ち着くという心理は、ズバリ「環境からの影響の受けやすさ(感受性)」にあります。

感受性には、ばらつき(個人差)があり、たとえ同じ環境だとしても、ある人は環境刺激から影響を強く受けやすく、ある人は影響を受けにくいケースがあります。

つまり、空イヤホンが落ち着く人とは、外界から入ってくる刺激に対して「より多くの情報量」を受け取ってしまう人と言えるでしょう。

また、発達心理学の観点から考えると、「静かな環境のほうが落ち着く=雑音の少ない母親のお腹の中の環境に近い」といった理由も挙げられると思います。

「空イヤホン」をしている人は病気なの?

聴覚過敏はあくまで症状であり、病名ではありません。しかし、耳や脳のいろいろな病気であったり、病気と言えないような小さなトラブルが原因となっていることも考えられます。

何が原因なの?

  • 耳に原因がある(突発性難聴・急性低音障害型感音難聴・メニエール病などの内耳性の難聴で起こる「*聴覚補充現象(リクルートメント現象)」)
  • 脳に原因がある(てんかん・片頭痛・うつ病・自閉症などの影響で、脳が音に対して敏感になっている状態)
  • 原因不明

*聴覚補充現象とは?

聴覚補充現象(ちょうかくほじゅうげんしょう)は、感音性難聴に伴う聴覚過敏症の症状。耳鼻科領域において、単に補充現象、あるいは聴覚のリクルートメント現象とも。

僕の場合は、耳鼻科を受診したところ、大きい音の聴きすぎによる「一時的な突発性難聴」と診断されました。

耳や脳になんらかの病気が隠れている可能性もあるので、あまりに症状がひどい場合には専門機関を受診しましょう。

HSP(繊細な人)である

もともと、HSP(感受性が極めて高い)の気質がある人の場合、病気とは関係なく「聴覚過敏」の症状に悩むこともあります。

残念ながら、HSPはまだ一般的には浸透していない概念です。「聴覚過敏=精神疾患のある人」と見られることもあり、時として心ない言葉を言われたり、辛い思いをしたりすることもあるかもしれません。

とはいえ、HSPは生まれつき持った「気質」なので、HSPではない人に理解してもらうのは難しいです。まずは、ストレスから身を守ることを優先しましょう。

別記事では「1分で結果が分かるHSPの診断テスト」も用意していますので、ぜひチェックしてみてくださいね。

【診断テスト】HSP気質=敏感な人の特徴とは?生きづらいのは繊細だから

続きを見る

僕が「空イヤホン」をする3つの理由

①周囲の環境音がうるさいから

感覚が敏感だと、周りの生活音さえとても煩わしく感じてしまうのではないでしょうか?

イヤホンをしていても、音楽すら聴きたくないタイミングもあるでしょうし、むしろ、「音楽なんて聴かないほうが落ち着く」という方もいらっしゃるかもしれません。

僕は、周りの音がうるさいときには、迷わず「空イヤホン」をしています。

背後から走り去る車のエンジン音だけでも「うわっ」となりますし、自転車のチェーンが擦れる音、もしくは、歩くたびに「カサッ」と音を立てるレインウェアに対しても、「うわっ」となります。

「うわっ」という感情は、基本的には「怖い」「びっくりした」という恐怖に近いものですね。「"うわっ"ポイント」が溜まっていけばいくほど、イライラや不快感、怒りにつながってきます。

自然の音は気にならない

人の会話も、車のエンジン音も、秒針が動く音も──。すべての音が「うるさい」となったときは、すぐにポケットからイヤホンを取り出し、ジャックをどこへもつながないまま耳へ差し込んでいます。

ただ、僕の場合は、音楽よりも「自然環境音(雨の音や川の音)」のほうが聴いていて集中できますし、心も落ち着くので、基本的には「雨の音」を聴いています。

自分でも「線引き」が曖昧なのですが、「うるさい」にも"心地よい音"と"心地の悪い音"の2種類があるんですよね。

基本的に「うるさい」という時点であまり好ましくはないのですが、自然音に限っては、雨も、風も、雷も、平気です。

②余計な会話を未然に防ぐため

誰かに急に話しかけられる事態を防ぐために「空イヤホン」をしていることもあります。

基本的に、知り合いや友人に偶然会ったときに話しかけられるのはいいのです(「うわっ」とびっくりはしますが)。

ただ、なぜか僕の住んでいる地域は「変わった人」が多いので、絡まれないように「空イヤホン」で未然に防御態勢をとっています。

イヤホンをしていると、聞こえないフリや聞こえづらいフリをすることが簡単になるため、スルースキルがだいぶ向上します。

イヤホンをしていても訳のわからない話を延々と繰り返すツワモノには、敬意を表して、この世の言語ではない挨拶をして立ち去ることにしています。

人の声は「高さ」が重要

人の声に関しては、「高さ」によってセーフか、アウトかが決まります。10人に1人ぐらいは頭にキンキンと響く声を持つ方もいらっしゃるので、失礼だとは思いつつも、片耳にイヤホン(または耳栓)をしながら会話をすることもあります。

男性の声は基本的に低いので、そこまで「うるさい」とは感じませんが、あまりに耳を守ろうとしていると逆に言葉が聞き取れない場合もあります。反対に、女性の声は遠くまで通る高さのため、油断していると耳が「ウワァ」となることも多いですね。

③ただのファッションとして

別に「イヤホンしている俺様、超クール」とか、そういうのではありません。

ただ、イヤホンをしていると、なぜか心が落ち着くのです。歩くたびにイヤホンのコードが体に「ゥサッ──」とヒットする音や振動、耳にイヤホンが装着されているという事実、それらが僕の心を静かにしてくれます。

たとえ、イヤホンジャックがどこにもつながっていなくとも、僕の心には確かにつながっているのです。なんというか、きっと、僕は「イヤホンが好き」なんでしょうね。

道具を使わずに周りの音を「シャットダウン」する方法

「耳栓やイヤホンも使わずに周りの音をシャットダウンする」という方法もあります。僕が実際に試してみて、効果を実感できたのは以下の3つです。

  • 「読書」に没頭する(没入感の高いストーリー式のものを推奨)
  • 「7つ以上のこと」を同時に考える(ただし、めちゃくちゃ疲れる)
  • 自律訓練法」を行う(場所を選ばず、慣れると1分ほどで実行できる)

とはいえ、完全に音をシャットダウンすることは難しいです。「うるさい」と感じる場合は、素直にイヤホンか耳栓を装着しましょう。

イヤホンや耳栓ができないときは?

「イヤホンをしているのが似つかわしくない」とか、「耳栓をしているのが失礼にあたる」とかいった場合は、

  • 素直に「聴覚が過敏であること」を相手に伝えた上で、耳栓、またはイヤホンをする
  • 装着しても「目立たない耳栓」を使用する(正しい装着法であれば、どの耳栓でも割と見えにくくなる)

のいずれかになると思います。

おすすめのイヤホンと耳栓を紹介

ノイズキャンセリングイヤホンはいいぞ

僕は、ノイズキャンセリング機能(周囲の騒音を拾い、逆位相の音を出力することで、騒音を聞こえにくくする)がついた「Apple AirPods Pro」を使っています。

最初は「値段、高いなあ」と感じていたのですが、いざ手にしてみると、それ相応の価値があるなと感じましたね。

装着した瞬間に、すっ、と周りの音が一気に静かになり、まるで世界と自分との間に1枚のガラス壁があるような錯覚さえ覚えました。

完全に音をなくせるわけではないのですが、日常生活の中で「うるさい」と思うタイミングが激減して、本当に、本当に助かっています。

聴覚過敏の方は、ぜひ一度、家電量販店などで視聴してみてください。きっと、音のなくなり具合に感動するはずです。

5千円以下で買えるノイズキャンセリングイヤホンなどもあるので、自分のお気に入りの1台を見つけてみてください。

耳栓は「お試しセット」から自分に合った形状を探す

耳栓はコストパフォーマンスもよく、就寝時にも問題なく使えます。

ただ、自分に合った耳栓を装着してこそ「本来の力」を発揮するので、まずは「お試しパック」から自分のお気に入りの形状を見つけるといいでしょう。