熱しやすく冷めやすいタイプと聞くと、どうしても悪いイメージを思い浮かべてしまうのは僕だけではないでしょう。
仕事だけに限らず、趣味や恋愛に関してもあまりいいこと聞きませんよね、熱しやすく冷めやすいタイプって。長続きしなさそうだし、忍耐力なさそうだし、とか。
しかし、そもそも人間という生き物は「興味が持てないものに熱中できるわけない」のです。こればかりは性格上──というより脳の構造上の問題なので、治そうと思って治るものでもありません。
とはいえ、ハマりやすく飽きやすい自分に対して、罪悪感を感じている人もいるのではないでしょうか?
飽き性な自分を責め、中途半端に終わった残骸を眺めては、何か悪いことをしてしまったような、どうしようもなく時間を無駄にしてしまったような、そんな罪悪感を抱いてしまう──。
確かに、ひとつのことに時間を費やしてきた人と比べてしまうと、ハマりやすく飽きやすい自分は見劣りしてしまうかもしれません。
しかし、熱しやすく冷めやすい人は決して悪ではありません。むしろ、ハマりやすく飽きやすい人だからこそ、たどり着ける場所もあるのです。
熱しやすく冷めやすいタイプの5つの特徴とは?
熱しやすく冷めやすいタイプの人の特徴は、主に以下の5つが挙げられるでしょう。
- 行動的。モットーは「思い立ったが吉日」
- 飽き性。口癖は「飽きた」
- 好奇心旺盛。多趣味
- プライドが高い
- 完璧主義者
3ヶ月もしたら別のことをやりたくなってしまうし、好奇心旺盛でいろいろなことに興味があるし、変なプライドはなかなか捨てられないし、完璧主義者っぽいところもある──。
でも僕は、別にそれが悪いことだとは思っていないです。多趣味であることによって、何か悪いことが起きるとも思いません。まあ、趣味が多い分、お金はかかるかもしれませんが。
熱しやすく冷めやすいは悪なのか?
熱しやすく冷めやすい、もしくはハマりやすく飽きやすいことの弊害とはなんでしょう? 多趣味がゆえに不利になることとはなんでしょうか?
おそらく、以下のようなことが思い浮かぶかと思います。
「分野に興味が出て夢中になっても、どこか一定のラインまで上達してしまうと飽きてしまう」
「物事を長く続けられず、突出した能力を身につけられない」
「ひとつのことを続けられる人に負けてしまう」
それぞれの項目を詳しく見ていきましょう。
一定のラインですぐ飽きる
自分の中で「まあ、こんなもんかな」というところまで成長すると、途端にやる気、というかモチベーションがなくなったりしませんか?
「せっかく始めたのだから、続けないともったいない」と思って続けようとしても、とうに興味は薄れているし、習慣化する前に飽きてしまっているので、どうにも仕方がない。
また違うことに興味が湧いて、夢中になって、それでもまたすぐに飽きて──。結局はこの繰り返しなんですよね。ループ&ループ。
ただただお金と時間と労力を無駄にしてしまったような、空っぽで、寂しくもどこか虚しい、そんな気持ちで今日も床につくのです。
ひとつのことに集中したほうが結果を得られるのでは?
どの界隈にも言えることですが、結果を出している人って「たったひとつのことを長く続けてきている人たち」なんですよね。
野球だったらずっと野球、漫画だったらずっと漫画、音楽だったらずっと音楽、とか。
いわゆる、そういうプロフェッショナルな人を見ていると、どうにも「自分はこのままでいいのかな? 熱中できるものをひとつ、見つけるべきなんじゃないのかな?」と思ってしまうのです。
でもね、
そんなことねーから!!!!
「多趣味が悪いこと」は勘違い
なんというかですね、ひとつに決めなくたっていいんですよ。趣味も、仕事も、夢も、希望も──。いろんな世界があって、いろんな答えがあるわけじゃないですか、この世の中って。
せっかく多種多様な人と国と考え方が混在しているカオスな世界なのに、それをわざわざ決めうちしてしまうような、そんな一本道の攻略法でストーリーを進めなくたっていいじゃありませんか。
確かに、結果を残す人は「何かたったひとつのことに集中してきた人」なのかもしれません。それはそうです。打ち込んでいる時間が多い人のほうが上達が早いのは当たり前です。
でも、ひとつのことに時間を費やしてこなかった自分をもう責めなくていいのです。劣等感を感じる必要もなければ、恥じる必要もない、そもそも同じ土俵で人と比べる必要もない。
人には人の乳酸菌──いや、人には人の生き方があるのです。育ってきた環境も違えば、考え方や価値観だって違う。味の好みも違うし、好きな音楽、映画のジャンルだって違う。
じゃあ、やりたいことも違っていいでしょう? やりたいことがたくさんあっても、いいでしょう。
「将来は何になりたいの?」という呪い
子どもの頃に「将来は何になりたい?」と聞かれた経験は誰にでもあると思うんですが、どことなく「将来は、必ずひとつの夢を決めなくてはならない」みたいな空気感ありませんでした?
あれ、非常によろしくないと思うんですよ。
イチローは小学校の卒業文集のときから「野球選手になる」と書いてあったらしいですが、僕は毎年、違うものになりたかった。
あるときは公務員だったり、オリンピック選手だったり、調理人だったり、カメラマンだったり、はたまた社長だったり──。
将来の夢なんて、子供のうちから決められるほうが珍しいと思うんですよ。まだ世間のことなんて何も知らないし、狭い世界の中でしか育ってきていないし。そんな状態から「夢を決めろ」と言われても無理な話です。
でも、夢がないですとは言えないし、あれもこれもやりたいんですとも言えない。かといって「サラリーマン」とか書くと、先生に「もっと夢を持ちましょう」と言われる始末でしょう?
じゃあ、どうしろと。夢がなくちゃあダメなんですかと。夢がたくさんあっちゃダメなんですかと。
なんとなく「やりたいことが多い=悪いこと」という方程式ができたのは、小学校の頃にしつこく聞かれた「将来は何になりたいの?」という他愛のない質問が原因だったりするのかもしれません。
我慢することはやめた
「熱しやすく冷めやすいタイプ」の人にとって、選択肢をひとつに絞ること──つまり、我慢することは大きな機会損失なのではないかな、と思います。
冒頭でも書いた通り、人間の脳は「興味が持てないものには熱中できない」という仕組みになっています。無理にやりたいことをひとつに絞っても、楽しくない、面白くないのであれば続きません。
多趣味な人は、きっと「まだ出会っていないだけ」だと思うんですよ。心底、自分がハマれるものに。もしすでに出会っていたとしても、飽きるタイミングは必ず来ます。それが短いか、長いかの違いだけで。
僕はかなり多趣味で飽き性な人間です。 小学校の頃からずっと描いていた絵は、アニメにハマってからめっきり描かなくなったし、習っていた水泳も平泳ぎができなくてやめた。
帰宅部から卓球部になったかと思ったら、すぐにサッカー部に転部して、軽音楽部でバンドを組んでいたかと思うと、バレー部も兼部していたり──。
もちろん、これだけいろいろなことをやっていると、自分の得意なこと、不得意なことも分かってきます。
それでもやっぱり大事なのは「結果」じゃなくて、あくまで「自分の興味・感心」なんですよね。結局、自分が納得してないとやりたくないし、続けられない。
だからこそ、自分が「ハマりやすく飽きやすいタイプの人間」だということに気が付いてから我慢することはやめました。興味があったらやるし、興味がなかったらやらない。
こうなったらとことん好きなことをやってみよう、と。別にやりたいことをひとつに決めなくてもいいや、と開き直ったんです。
好きなことだけして生きてきた結果
唯一、僕の中で長く続いたものが「バンド」だったんですよね。高校から専門学校卒業後もずっとバンドマンでした。就活もせずにずっとベース弾いてました。
その傍ら、アルバイトもしていたのですが、もちろん仕事に関しても飽き性でして、これまで10個以上のアルバイトを転々としてきました。
当時は、バンドマンをしながら、ゲーセンのお兄さんをやり、デザイナーとしてのアルバイトもこなしつつ、ブログを書いていました。今にして思うと、「自分、よく生きていたな」と思いますね。
ただ、経験から身に付けたものは大きかったです。これまでに培った経験は、大人になった今でもめちゃくちゃ役に立っています。
大学生におすすめのバイト18選!実際に働いたバイト経験から紹介します
続きを見る
元バンドマンが海外事業を立ち上げてアメリカ大陸を横断するまで
約6年間のバンドマン生活では、ベーシスト・リーダー・デザイナー・マネージャーとして動いていました。
デザイン案から物販制作、スケジュール管理、関係者各位との連絡、演奏練習などのバンド活動に加え、デザイナーの仕事、ブログ執筆、そして各分野の勉強──と、てんてこ舞いでした。
そんな折、急に旅に出たくなり、急きょバンドとバイトをやめ、スキー場で住み込みバイトをし、実家に帰ってきて自転車と装備品を購入し、埼玉から自転車で出発して100日後に長崎に着き、ふと英語を勉強したくなり、セブ島に留学──。
3ヶ月の留学期間を経た後、フィリピンに移住し、現地の人とツアー事業を立ち上げ、ハワイをオープンカーで1周してからキャンピングカーでアメリカ大陸を横断し、タイムズスクエアで新年を迎え、帰国し、富士山を制覇して、今ニート。
多趣味や飽き性もここまで極めると、ただの「ハマりやすく飽きやすい人」ではなくなるはず。きっと、バンドだけ続けていたら、こんなにたくさんのことを経験することはなかっただろうから。
▶僕の詳しいヒストリーを知りたい方はプロフィールからどうぞ。
多趣味で得られたものは?
たくさんの仕事とたくさんの趣味とたくさんの人と出会ってきて、僕は本当にいろいろなものを手に入れてこられたと思っています。無駄なものなんてひとつもないです、本当に。
自転車旅は毎日が死と隣り合わせでしたが、そのおかげで胆力や度胸が付きましたし、極度の恥ずかしがり屋だった僕も、バンドマン時代の200回以上のライブ経験でかなり前向きな性格になりました。
高知で地元の猟師さんとイノシシとシカの解体をして、本当の意味の「いただきます」がなんとなく分かったような気もしています。
人生初海外の国で留学し、移住し、起業し、毎日が新しいことばかりの連続でヒーヒー言っていたのも今となってはいい思い出です。こんなにレアな体験、そうめったにできるものではありません。
きっと、何かひとつに選択肢を絞って、自分の本当にやりたいことから目を背けて、心のどこかに迷いを持ちながら毎日をなんとなく過ごしていたら、僕の人生はまるっきり別なものだったかもしれない。
いろんなことがやりたいんなら、いろんなことをやればいいじゃないか──と、好き勝手に生きている飽き性な僕はそう思うわけです。
多趣味で得られたものは、言葉では語り尽くせません。人に誇れる最強の武器はひとつもないかもしれないけれど、たくさんの経験が、それらすべてが、まとめて僕のひとつの武器なのです。
相手が1本の槍で突撃してくるなら、僕たち「多趣味アンド飽き性ズ」は小さな盾を100個、構えりゃいい。
多趣味なのは、それだけ「自分の居場所」があるということ。飽き性なのは、それだけ「世界にある美しいもの」を見る目を持っているということ。
素敵じゃないですか。劣等感も、罪悪感も、そこに入り込む余地はないんです。ただ、あなたがいて、世界があって、美しいものが目の前にあるだけ。
あなたはおかしくない
もしも、あなたが多趣味でいることに悩んでいるのだとしたら、熱しやすく冷めやすいタイプであることに悩んでいるのだとしたら、そんなことは気にしなくていいのです。
何かひとつのことに集中してきた人には絶対に到達できないところに、多趣味な僕らは行けるから。分野の壁を超えて、さまざまな知識や技術を融合できるから。
たくさんハマって、たくさん飽きて──。その中から自分が本当に好きだと思えるものを見つけられたらいいじゃないですか。好きなことがたくさんあるって、めちゃくちゃ素敵なことですよ。
お金や時間はかかるけど、ハマることにビビらない
自分のことをハマりやすいと自覚しているならなおさら、ハマることが怖くなっちゃうと思うんです。「結局は飽きてしまうのに、私はまたハマってしまうのか」と。
でも、僕はそれでいいと思ってます。それなりにお金や時間はかかるかもしれませんが、できる限りの範囲で楽しめばいいのではないでしょうか。自分が好きなら、興味があるなら、やっぱりやってみるべきです。
本だって、ゲームだって、手芸だって、旅行だって、写真だって、きっと自分にとって必要だから興味が持てるんだと思いますよ。
最初っから無駄なんて決めてちゃもったいない。ハマることにビビらない。
熱しやすく冷めやすい人、恋愛や仕事はどうなんです?
仕事や恋愛は、趣味とはちょっと違うのかな、と思います。
僕自身、これまでの人生を振り返ってみても「たくさん恋愛してきました」という感じではないですし、どちらかというと「惚れにくい分、一途かな」という自己評価です。
仕事、というかバイトはいろいろとやってきましたが、ブログだけはずっと続けているので、ある意味では一途なのかもしれません。
多趣味だから、あるいは飽き性だからといって、必ずしも恋愛や仕事に関して移り気があるとは言い切れないでしょう。
むしろ、たくさんの趣味を持っている人のほうが、人間的に魅力的な人、仕事ができる人が多かったりもしますからね。
天職が見つからない人がいるのはどうしてでしょう?
参考になりそうなTEDの動画を紹介します。とてもいい内容なので、ぜひ見てみてください。日本語字幕付きです。
熱中してもすぐ飽きちゃうよ、って悩んでる人はきっと共感できる部分が多く、勇気づけられるはずですよ。
まとめ
熱しやすく冷めやすいは悪ではありません。
もし途中で飽きたとしてしまっても、まったく違う分野に興味が移ってしまったとしても、それらの知識や技術がすべて無駄になるなんてことはまずありません。
自分の好きなこと、興味を持てる分野のことなら、自由にやってみればいいのです。点と点は、いつか必ずつながります。
多趣味や飽き性で悩んでいる人は、ぜひホリエモンの「多動力」を読んでみてください。きっと役に立つはずです。