DMN(デフォルト・モード・ネットワーク)とは、脳が「何もしていないとき」や「ぼーっとしているとき」に働くネットワークのこと。
言うなれば「脳のアイドリングモード」のようなもので、車がエンジンをかけっぱなしにして動いていない状態によく例えられます。
一方、何かに集中しているときや、今この瞬間に注意を向けているとき(マインドフルネスな状態)は、DMNはあまり働かず、他の脳の部分が活発になります。
現代人は、PCやスマホなどのデジタル機器の使いすぎによって脳が過剰に刺激され、脳疲労が非常に溜まりやすい──。
脳疲労を回復するためには、DMNの抑制と活性化のバランスが重要になってきます。
DMNが過度に働くと不安やストレスを引き起こす
DMNは、過去や未来への思考、自己反省、ルミネーション(何度も思い出す現象)に関連しており、これが過度になると不安やストレスを引き起こす可能性があります。
こうしたDMNの過剰な活性化を抑制するために有効な方法が「マインドフルネス瞑想」です。
瞑想は、DMNを抑えることで"今この瞬間"に意識を集中させ、不必要な自己反省──特にネガティブな思考のループに陥りやすいなどの状況──を減らすのに役立ちます。
DMNの活性化を抑制する方法
DMNの活性化を抑制する方法は、瞑想の他にも以下のようなものがあります。
マインドフルネスな生活:今この瞬間に意識を向けて過去や未来の思考にとらわれない。食事、仕事、歩いているときなど、目の前のことに集中することでDMNの過剰な活性化を抑える。
全集中の呼吸:何かに完全に集中しているとき──スポーツやクリエイティブな活動に没頭しているとき──脳は「フロー状態」と呼ばれる集中状態に入り、DMNの働きが抑制させる。
他者との関わり:人との会話や社交的な活動もDMNの働きを抑制するのに効果的。他者との関わりに集中することで、ネガティブな思考を減らし、今この瞬間に集中しやすくなる。
DMNの活性化と脳のリフレッシュ
精神科医の樺沢紫苑先生によると、DMNを働かせるためには"だらだらする時間"や"ぼーっとする時間"がとても大事だそうです。
- スマホやPC、テレビは観ない
- 読書をする
- 音楽を聴く
- お風呂でリラックスする
- ペットと遊ぶ
上記のような行動は、DMNを適度に働かせ、脳疲労を軽減し、創造的なアイデアや洞察を得るのに役立ちます。
つまり、脳が緊張状態や集中状態から解放され、自由に思考が巡ることで、リラックスし、回復の時間を得ることができるんですね。
目的に応じてDMNの扱いを使い分ける
脳疲労を回復させるためには、DMNを「抑制」することと「適度に活性化」することの両方が必要です。
日常的なルーチンワークやストレスフルな状況では、DMNが過剰に働くことが"精神的な疲労"や"不安の原因"になるため、瞑想、マインドフルネス思考がその働きをコントロールする手段として有効。
一方、リラックスや創造的な活動のためには、適度にDMNを活性化することも大切。
DMNをどう扱うかは、自分の状態や目的に応じて使い分けるのが理想的と言えます。
DMNの活性化と抑制のバランス
意識的にリラックスする時間を取る
1日に少なくとも15〜30分の「ぼーっとする」時間を意識的に取り入れたいところですね。
▶自然の中を散歩したり、本を読んだり、風呂に入ったり──もちろん、どの場面でもスマホはなし──など、リラックスしてDMNを適度に働かせる時間を持つ。
マインドフルネス瞑想の習慣を持つ
瞑想は、DMNの活性化を抑制する良い手段です。短時間でもマインドフルネス瞑想を行うことで、心の静けさを取り戻すことができ、過剰なルミネーションを防ぐことができます。
▶ただし、うつ症状が重いときなど、精神状態があまりに悪いときはやらない。無理せず、できそうなときにやる。とても大事なこと。
集中とリラックスのバランスを意識する
何かに集中する時間(仕事や趣味)と、リラックスする時間(自然を楽しむ、ぼーっとする)をうまく交互に取ることが理想です。
DMNの過剰な働きを抑制しつつ、必要に応じてリフレッシュさせることが、脳疲労の回復に繋がります。
デジタルデトックスも取り入れたい
DMNの抑制と活性化も重要ですが、できれば「デジタルデトックス」も心がけていきたいところ。
僕自身、ニュースアプリを消し、情報の仕入先を紙の本メインにし、SNSのアカウントを消してから、脳の回復が早くなり、心に平穏が戻ったという実感があります。
特に、HSPの気質がある、抑うつ傾向にある、夜あまり眠れない、とても疲れやすい──などの症状がある人は、デジタルデトックスがおすすめです。
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