スマホのニュースアプリにキュレーションアプリ、テレビの報道番組、新聞、人からの伝聞、etcetc——。
毎日新しいニュースがどんどん入ってきますよね。
でも、正直言っていらない情報が多すぎる。
そりゃあ、あくまで情報を取りに行ってるのはこちら側なわけでして、勝手に火の中に飛び込んで『火傷したんだけど?!』と騒いでいるだけに過ぎないのかもしれません。
それにしてもね。それにしても、ニュースって疲れるんですよ。
ニュース(情報)の制限域には限界がある
仮に情報を自ら制限しようとしても、テレビを見て、ネットに触れて、Twitterのタイムラインをスクロールする以上、何かしらのニュースは目に入ってくるわけです。
そもそも『いらないニュース』や『どうでもいいニュース』というのも、情報を受け取って精査してようやく判断できる(アプリとかの場合は意識的に排除することもできますが)事柄ですよね。
情報を受け取り、必要なものだけを取捨選択する——。
当たり前のように思われるこの作業でも、情報の量が増えればそれだけ労力も必要になるってわけです。
その結果が『ニュース疲れ』だったりするのかな、と。
ネガティブなニュースは不安を誘発させることも
「進化論」を提唱した生物学者ダーウィンは「恐怖を抱くことは人間の強みになる」と主張1しました。
当時は無視されたこの考えは約140年の月日を経て、2014年に京大の研究チームによって裏付け
2がなされています。
もしかすると恐怖や不安を煽るニュースも、考えようによっては「強み」になり得るのかもしれません。
しかし、その一方で「ネガティブで暴力的なニュースは、深刻で長期的な心理的悪影響を与える可能性がある」ことも忘れちゃいけない。
メディアの暴力と心理的影響を専門とするイギリス人心理学者Graham Davey博士によると、『メディアの暴力はストレスや不安、抑うつ症状を増大させ、PTSD(心的外傷後ストレス障害)を引き起こす要因にすらなる
2』とのこと。
あまり神経質に捉えても逆効果になってしまうでしょうが、余計な情報で貴重な精神エネルギーを消耗しないためにも、「普段"何気なく見ているニュース"が心にどんな影響を及ぼすか?」を一度考えてみる必要がありそうですね。
脳神経科学と心理学から見る「恐怖」と「快感」の話
フィンランドのタンペレ大学の神経科学者Allan Kalueff氏曰く、『恐怖の処理に関係する脳の部位と快感の処理に関係する脳の部位はかなり重複している
2』そうです。
(※論文や公的な研究データはネットでは発見できず。ソースっぽいソースはWIREDの他に書籍3に記載されているのを確認)
つまり、「刺激的なニュースによって、脳はある種の中毒状態になっている」とも考えられるわけです。
無限ループって怖いよね。
情報量を自分でコントロールする
じゃあどうしたらいいのかといえば、第一段階「情報の受け取り」時点で入ってくる情報量を自分でコントロールするしかないです。
テレビやネットの場合はできるだけ見ないようにする、もしくはあらかじめ決めた特定の番組やサイトだけを見るようにする、といったように。
中でも、特に「ニュースアプリ(スマホ)との付き合い方」は早いところ考えておいたほうがいいでしょう。
ニュースアプリ(スマホ)との付き合い方と問題点
スマホはその手軽さ故に「ほぼ無限量の情報」が入ってくるので、こんな問題が出てきたりします。
- 余計な情報(ノイズ)により、ストレスが溜まってしまう
- 刺激が強い情報により、精神面に悪影響が出てしまう
- 心理学的に興味を引くような見出しにより、時間を浪費してしまう
テレビにしろ、スマホにしろ、ぼーっと(なんとなく)ニュースを漁ってることが問題だと思うので、徐々に自分なりの方法を模索していく他ありません。
一日20分ニュースを見ると1年で「121時間」になる
仮に一日のうち20分ニュースを見ているとすると、一年で「121時間」になります。
『たかが20分ぐらい……』と思いそうなものですが、もしその20分で時間だけでなく、精神的な体力も差し出しているとしたらどうでしょう。
大して興味もない、その場限りの退屈しのぎで、どこかの誰かの、どうでもいい情報を仕入れて、果たして人生のプラスになりますかね?
Yahoo!トップニュースのカテゴリー別の内訳
『Yahoo!』から見る「日本の異常さ」によると、各国のYahoo!トップページのニュースタイプの統計4は以下のようになっています。
アメリカ | イギリス | 日本 | |
世界のニュース | 24% | 22% | 17% |
自国のニュース | 65% | 51% | 38% |
スポーツニュース | 7% | 15% | 9% |
芸能ニュース | 3% | 12% | 35% |
その他 | 1% | 0% | 1% |
なんと、日本のYahoo!トップページにおける「芸能ニュース」の割合は35%(対して自国のニュースは38%)という結果に。
これを『日本は平和な国だ』と捉えるか、『日本人は政治・経済に無関心な国民だ』と捉えるか、『単に「芸能」を何某かの隠れ蓑にしているのでは』と捉えるかによっても見方が変わってくるでしょう。
いずれにせよ、もしニュースが自分にとってそれほどプラスになっていないと感じているのであれば、これまでニュースに費やしていた時間を「読書」にあてるだけでも違うと思いますよ。
今の世界や日本に不安を感じている人は『一九八四年』を読んでみるといい
余談になりますが、今の世界や日本に漠然とした不安を感じている人はぜひジョージ・オーウェルの『一九八四年』を読んでみてください。
この物語は『一九八四年』のオセアニアが舞台になっているんですけど、「決して他人事ではない内容になっている」と言ってもいいです。
- 歴史を改ざん、政治家の失言を議事録に記録しないなど政府に都合の悪い事実を消す真理省
- 人々の言動をあらゆる所で監視するテレスクリーン
- 言葉を単純化して反政府的な発言をしにくくさせるニュースピーク
政府やマスメディアによって「事実」が捻じ曲げられ、覆い隠される今の時代だからこそ読んでおくべき本と言えるんじゃないでしょうか?
僕自身、この本を読んでからニュース(情報)に対する考え方が変わりましたね。読んでおいて損はない名著です。
ニュースアプリをスマホから一切削除した結果
僕は半年ほど前まで「Yahoo!ニュース」「スマートニュース」「LINE NEWS」「NHKニュース」「NewsPicks」「グノシー」と、ニュースアプリやキュレーションアプリを根こそぎスマホにダウンロードしてました。
一口にニュースアプリと言っても、それぞれのアプリごとに特色が違ったり、得意分野も違えば、使いやすさやデザイン面などの相性もマチマチなんですよね。
そういう理由もあっていろいろなアプリを使い分けていたんですが、あるときからスマホから一切のニュースアプリを削除したんです。
はじめのうちは入ってくる情報量が一気に減って「なんとなく寂しい感じ」はしてたんですが、びっくりすることにぜんぜん困らないんだ、これが。
もはや今となっては超スッキリ、ノンストレスですよ。
たしかにニュースアプリは便利です。話のネタにもなるし、知識も増えるし、興味を持った分野に対して詳しくなった気にもなる。
でも、結局はその場限りの「娯楽」に成り下がってしまっていることが多くて、ニュースを通してなんとなくわかったつもり、偉くなったつもりになっても、最終的に実になっているかと聞かれれば自信を持ってYESとも言えないわけで。
加えてなんだか時間を無駄にしている感覚もするし、むしろニュースを漁ることでストレスを感じている気さえしてくるし——。
それならいっそニュースアプリ消しちゃおう、となったわけなんですね。
情報の仕入先をアプリから「より限定的な場」に
ニュースアプリって自分から情報を「能動的」に取りに行っているようで、実は情報に対して「受動的」な姿勢になってしまいがちなものだと思うんですよね。
知識や見聞を広げるためにニュースを活用しようとしているつもりでも、いつの間にか「娯楽」の要素が強くなってしまっていたり、深堀りをせずに見出しだけをすーっとなぞっているだけになっていたりする。
ただでさえノイズが多く誘惑の多いスマホなので、どうしても興味があちこちに移ってしまって、情報に対してどこか「つまみ食い」のようなスタイルが自然と身についてしまうんですよ。
そのせいで本来、もっと深く考えるべきはずの事柄をスルーしてしまっていることもあるはずなんです。それは実にもったいないし、大きな機会損失と言っても決して大げさじゃない。
アプリを使って惰性でニュースを見るぐらいなら、多少手間をかけてでも新聞や書籍に目を通して「情報の深さ」を重視したほうがいいんじゃないかな、と最近は思ってます。
ニュースアプリのランキングにしたって、自分にとって価値のある情報というのはそれほど多くはありませんしね。
あえて手順を増やすことで情報量をコントロールする
- 第一段階:『通知うっさいな』→ニュースアプリの通知オフに
- 第二段階:『(なんとなくニュースアプリを徘徊)どうでもいいニュース多いな』→一切のアプリを消す
- 第三段階:『別に困らんし、なんか気分いいわ』→ニュースアプリ中毒になっていたことにようやく気づく
本当に重要だと思っている情報であれば、それぞれの分野ごとにより詳しく、深くまとめられている場所に「自分から探しに行く」ほうがよっぽど有意義な情報収集ができそうじゃないですか?
ストレスなく自分の求めている情報を的確にリサーチできるならニュースアプリはベストな方法なんでしょうけど、僕はそこまで器用ではないので、ニュースを見たいときはあえてブラウザを立ち上げて極力余計な情報が入らないようにしてますね。
ふと『ニュース気になるなー』ってときもLINEアプリのニュースからちらっと見たりできるので、『やっぱりニュースアプリいらんわ』ってなってます。
目まぐるしく状況が変化し、あらゆる情報が錯綜する情報化社会を「豊かに生きる」ためにも、情報の扱い方やニュースとの向き合い方はしっかりと考えておきたいものですね。
- 「情報過多シンドローム」を防ぐためにやめるべき5つのこと
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- 『人および動物の表情について(1872年)』
- ダーウィンは正しかった、恐怖は人の強み
- Brandwashed: Tricks Companies Use to Manipulate Our Minds and Persuade Us to Buy, p.33
- ※2016年2月、3月の約2ヶ月間の間、毎日各国のYahoo!のトップページからニュースのタイプの統計をとってまとめたもの